
対ドルのウォン相場が1ドル=1500ウォン台の高止まりが続く中、副作用への懸念が高まっている。1997年の通貨危機、2008年の世界金融危機の際に見た水準だけに、多くの韓国人は1ドル=1500ウォン台の為替相場からまず「経済危機」を連想する。ただ、過去に例のない経常黒字規模などを踏まえると、今回のウォン安は以前とは原因が異なるとの分析もある。金容範(キム・ヨンボム)大統領政策室長はウォン安について、「経済飛躍過程で現れる成功のコスト」と主張した。問題は、仮に金氏の主張が正しいとしても、そのコストを誰が負担するのかという点だ。
22日のソウル外国為替市場で、対ドルウォン相場は1ドル=1517.2ウォンで取引を終え、1520ウォンの目前まで迫った。さらなるウォン安要因も控えている。ケビン・ウォーシュ米連邦準備制度理事会(FRB)新議長は、急激な国債金利と物価上昇のため、自身の意志とは関係なく政策金利引き上げへ追い込まれている。政策金利が上がればドル高が進み、さらにウォン安が進む可能性が高い。国際原油価格とウォン高を推し進める米・イラン戦争終結の可能性も依然不透明だ。
こうした中、金氏は24日、「現在の金利高・物価高・ドル高は、韓国経済が新たな段階へ飛躍する過程で不可避的に伴う『成功のコスト』だ」とする内容をソーシャルメディア(SNS)に投稿した。現在のウォン安については、韓国株式市場の急騰を受け、外国人投資家が一部株式を売却して評価益を回収したことが背景にあり、過去の危機時に見られた外貨不足とは原因が異なるとの認識を示した。
現在のウォン安には、確かに過去とは構造的に異なる側面がある。今年第1四半期、韓国の経常収支は半導体輸出の増加などを背景に過去最大の黒字を記録した。成長率も主要20カ国・地域(G20)の中で最高水準となっている。本来であれば、ドル流入の増加に伴って為替相場はウォン高方向に向かうのが自然だ。だが、流入したドルの大半が、いわゆる「西学アリ」と呼ばれる個人投資家の海外株投資や、国民年金の海外金融投資、大企業の設備投資などを通じて国外へ流出しており、ウォン安が続いている。さらに、関税交渉を通じて約束した3500億ドル規模の対米投資も、先行的に為替相場への負担となっている。原因が過去とは変化しているのは事実だが、これを「成功のコスト」と呼べるのかについては疑問が残る。
しかも、ウォン安と物価高のコストは、資産が少なく所得も伸びていない庶民や脆弱層が主に負担することになる。ウォン安による輸入物価の上昇は、庶民の食卓やトラックを走らせる中小商人に真っ先に打撃を与える。半導体スーパーサイクルの恩恵を受ける一部企業や労働者とは、景気に対する体感温度そのものが異なる。政府が今なすべきなのは、経済指標に対する国民の認識を変えることではなく、ウォン安ショックを最小限に抑え、一部に偏った成長の恩恵を幅広く行き渡らせることだ。






