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GPU26万枚を確保したが、活用してもらう人材は流出

GPU26万枚を確保したが、活用してもらう人材は流出

Posted November. 04, 2025 09:35,   

Updated November. 04, 2025 09:35


韓国のある大手企業の人事部門は、最近急増している人工知能(AI)関連人材をできるだけ早く確保せよとの特命を受けた。当初、この企業は海外にいる韓国系のAI専門人材への接触を試みたが、すぐに戦略を改めざるを得なかった。同社関係者は「給与水準などの問題から、海外ではAI専門人材の採用自体が事実上不可能だと判断した」としたうえで、「国内の大学でAIを専攻した人材を中心に新入社員を採用し、基礎から職務教育を行うしかない状況だ」と語った。

アジア太平洋経済協力会議(APEC)首脳会議を機に確保したNVIDIAの最新型グラフィック処理装置(GPU)26万枚が、韓国製造業のAI大転換の橋頭保になるとの期待が高まっている。しかし、NVIDIAのジェンスン・ファンCEOの「GPUプレゼント」を「ゲームチェンジャー」にするためには、韓国が解決すべき課題は少なくないとの指摘も出ている。GPUを活用できる人材が圧倒的に不足しているうえ、半導体チップを稼働させる電力インフラも十分に整備されていないためだ。

韓国銀行が3日、国内理工系勤務者2700人を対象に実施したアンケート調査によると、42.9%が海外への転職を考えていると答えた。AIと密接な関連を持つ情報技術(IT)・ソフトウェア・通信分野に限ると、その割合は44.9%に上った。

海外転職を考える最大の理由は、年俸と研究環境の差だった。韓銀の調査によれば、最終学位取得から10年後の国内理工系人材の平均年俸(約9740万ウォン)は、米国など海外人材(約3億8600万ウォン)の4分の1の水準にとどまる。

NVIDIAは先に、最新型GPU26万枚を三星(サムスン)やSK、現代(ヒョンデ)自動車、ネイバーなど韓国主要企業に供給することを決定している。しかし、これを活用できるAI人材の供給は事実上行き詰まっており、むしろ既存人材の流出まで懸念しなければならない状況にあるため、今後のAI産業の発展に大きな制約が伴うとの懸念が出ている。電力インフラの拡充も課題だ。26万枚を稼働させるには膨大な電力供給が不可欠であり、原子力発電所の建設など国家レベルでの電力供給計画を再構築する必要があるとの指摘が出ている。

金永梧(キム・ヨンオ)ソウル大学工科大学長は、「ソウル大学工学部には毎年850~900人が入学するが、1年生の時点で最終的に医学部などへ進学するために100人以上が退学している」とし、「AIなどの人材育成のためには、報酬体系の改善が必要だ」と指摘した。


チャン・ウンジ記者 イ・ホ記者 jej@donga.com