HD現代(ヒョンデ)が、米国最大の防衛造船会社ハンティントン・インガルス・インダストリーズ(HII)と手を組み、米海軍の次世代兵站支援艦を共同建造すると発表した。韓国の造船所が米軍艦の整備・修理・オーバーホール(MRO)事業を受注したことはあるが、艦船を新たに建造する形で直接参加するのは初めてだ。韓米造船業協力「マスガ(MASGA・米国造船業を再び偉大に)プロジェクト」の地平が一段と広がるとの期待が高まっている。
HD現代は26日、アジア太平洋経済協力会議(APEC)首脳会議を前に慶州(キョンジュ)で、HIIと「商船および軍艦の設計・建造協力に関する合意覚書(MOA)」を締結したと発表した。両社が共同で設計・建造する次世代兵站支援艦は、米海軍の補給・物流能力の近代化戦略において重要な役割を担う。両社はまた、米国内の造船生産施設の取得や新規設立に共同投資し、造船分野の『エンジニアリング合弁会社』設立も検討する。
マスガプロジェクトが旗を掲げて以降、国内造船企業は米国法人設立や現地の艦船建造など米国進出戦略に速度を上げている。昨年、米フィリー造船所を取得したハンファオーシャンは、現在年間1~1.5隻レベルの建造能力を20隻まで拡大する計画を示した。三星(サムスン)重工業は、米国の軍艦MRO専門会社とパートナーシップを結んでいる。27~31日のAPEC首脳会議も、韓国造船の競争力を示す絶好の舞台となる見通しだ。カナダのカーニー首相ら主要首脳や経済人が造船所を訪れる予定であり、トランプ米大統領のサプライズ訪問の可能性もある。
マスガプロジェクトが軌道に乗るには、多くの課題もある。米商船・軍艦の海外建造を阻むジョーンズ法やバーンズ・トレフソン法など米国内の規制を改正または回避する必要があり、韓国製艦艇が「同盟国製品」として認められるには、韓米国防相互調達協定(RDP-A)の締結も必要だ。マスガに刺激された日本の競争や、中国の露骨な牽制も克服しなければならない。最近、日本は米国と造船分野協力覚書の締結を推進しており、中国はハンファオーシャンの米国内子会社5社を制裁対象にしている。
マスガプロジェクトは、関税交渉の最初の突破口を開き、韓米両国の経済・安全保障協力の基盤を築いた。造船協力が具体化すれば、続く関税交渉の後続協議にも役立ち、半導体・原子力発電所・人工知能(AI)などの後続協力事業も引き出すことができる。韓国造船が米国で進撃の汽笛を鳴らせるよう、政府も政策的・外交的支援をしっかり行う必要がある。
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