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環境問題で米国が手放したレアアース、覇権を握った中国「産業の武器化」

環境問題で米国が手放したレアアース、覇権を握った中国「産業の武器化」

Posted October. 23, 2025 08:28,   

Updated October. 23, 2025 08:28


米国が1990年代に環境問題を理由に手放したレアアース産業が、中国の核心的な「産業武器」となり、米国の「アキレス腱」として戻ってきた。使用量はわずかでも、レアアースがなければ生産が止まるという特性を武器に、中国は近年、米国の対中圧力に対抗する切り札として活用している。

22日、韓国原材料市場分析機関のコリアPDSによると、世界のレアアース精製の91%を中国が占めている。中国のレアアース採掘シェアは約69%にすぎないが、高度な製錬・分離技術を背景に、全体精製の9割以上を掌握している。特に、レアアースの中でも核心鉱物とされるネオジム(NdFeB)永久磁石の中国生産比率は93%に達する。この鉱物は電気自動車(EV)のモーターをはじめ、半導体装置や防衛産業などに広く利用されている。

レアアースは、一般金属に比べて高い導電性と磁性を有し、自動車、防衛、半導体、ディスプレイなどの最先端産業で使用される。使用量は少ないが、供給が途絶すると製品生産が中断されるため、「21世紀の石油」「先端産業のビタミン」とも呼ばれる。

EVモーターに使われるネオジム永久磁石は、2トンの自動車あたり1~5キログラム程度しか使われないが、供給が止まれば車の生産は不可能だ。レアアースが使われる分野はすべて同様で、事実上、世界の先端産業の存亡がレアアースにかかっているといえる。

中国以前にレアアース大国だったのは米国である。米国は1990年代までは世界最大のレアアース生産国だった。しかし、環境規制の強化とコスト削減の要請が重なり、事業を外注化し始めた。レアアースの製錬や分離には硫酸や塩酸などの化学薬品が必要で、この際に発生する副産物が深刻な環境汚染を引き起こす。

環境規制が比較的緩かった中国は、多数のレアアース企業を買収し、短期間で精製技術を手にした。業界では、1995年に米GMが永久磁石関連の最高技術を持つレアアース子会社マグネクエンチを中国に売却したことが、中国のレアアース支配力を強化する決定的契機になったとみている。

中国はその後30年以上にわたり研究開発(R&D)を通じてノウハウを蓄積。さらに「採掘-製錬-加工」へと続くレアアース産業を垂直統合し、圧倒的な技術力と価格競争力を確保した。

米国が、中国の独占状態に危機感を抱き始めたのは2000年代後半だ。その後、関連産業の復活を支援したが、中国政府による大量生産体制と価格引き下げ政策に耐えられず、撤退を余儀なくされた。

世界各国は、中国が2010年、日中間の領土紛争の過程でレアアース輸出統制を交渉武器として使ったのを契機に、中国依存度の引き下げに動いた。レアアース埋蔵量第2位のブラジル(2100万トン)などを通じたサプライチェーンの多角化を進めているが、製錬・分離技術の不足により、生産実績は依然として限定的だ。都市鉱山からの回収によるレアアース確保の試みもあるが、短期間で成果を出すのは難しい状況だ。

コリアPDSのソン・ヤンリム首席研究員は「10年以上にわたり、世界各国が中国産レアアースへの依存度を下げようと努力してきたが、実質的には失敗した」とし、「環境問題や供給価格などを考慮すると、長期備蓄以外に現実的な解決策を見いだすのは難しい」と述べた。


イ・ドンフン記者 パク・ヒョンイク記者 dhlee@donga.com