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韓米の対北朝鮮協議体が近く稼働、「直接取引」の脱線を防ぐ安全弁に

韓米の対北朝鮮協議体が近く稼働、「直接取引」の脱線を防ぐ安全弁に

Posted December. 12, 2025 10:23,   

Updated December. 12, 2025 10:23


韓米両国が、対北朝鮮政策を調整する定例協議体の年内発足を目指しているという。外交通商部は「韓米は数カ月前から、対北朝鮮政策全般での協力を図るため、定例会合の開催方式について実務レベルで協議してきた」とし、近く会合の形式や時期、出席者を調整し、協議体を稼働させる計画だと明らかにした。政府当局者も「北朝鮮との対話を念頭に、韓米が随時会って政策を調整し、状況を共有する枠組みを作ろうというものだ」と説明した。

これまで韓米は、関税や安全保障協議に没頭するあまり、対北朝鮮政策をほとんど調整してこなかったのが実情だ。李在明(イ・ジェミョン) 大統領が8月の初の韓米首脳会談で、トランプ米大統領の対北対話のジェスチャーに歩調を合わせ、「ペースメーカー役」を務めると表明したことが、せいぜいのところだろう。その間にも、米国は「北朝鮮の非核化」を掲げながら、一方でトランプ氏が北朝鮮を「核保有国」と呼び、最近公表された国家安全保障戦略(NSS)では北朝鮮に言及すらしなかった。韓国政府内部でも、統一部長官が省庁間の調整もないまま、韓米合同軍事演習の調整を公然と主張している。

韓米間で対北朝鮮政策の調整が必要なのは、こうした韓米双方からちぐはぐな話が飛び交うことで、結果的にいかなる対話も拒否する北朝鮮の金正恩(キム・ジョンウン)総書記の立場だけを高めているためだ。特にケビン・キム駐韓米国大使代理が最近、韓国政府の高官らと相次いで会い、合同軍事演習の調整論など対北融和論に懸念を示したことから、北朝鮮へのメッセージを一貫させるための韓米協議が急務との声が強まっている。来年4月には、トランプ氏が中国訪問を機に正恩氏との会談を模索する可能性が高いと言われており、時間的余裕も多くない。

韓米調整を図るうえで、李氏みずからが名乗り出た「ペースメーカー」としての役割を再定立する必要がある。トランプ氏の予測不能なスタイルと「米国第一」の交渉姿勢を考えれば、米朝の「直接取引」が、韓国だけが頭上に北朝鮮の核を抱え込む結果を招く危険性は少なくない。最近、米国側が「行き過ぎ」と問題視しているのも、韓米合同軍事演習の縮小のように、本来ピースメーカーが切るべき交渉カードを、ペースメーカーが先に公開してしまうのではないかという不満と見るべきだろう。韓米はロードマップを綿密に点検し直さねばならない。とりわけ、誤った脇道に入り込まないよう「安全弁」を備えることこそ、ペースメーカーに課された重要な任務だ。