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ノーベル平和賞のマチャド氏、命懸けでノルウェーへ

ノーベル平和賞のマチャド氏、命懸けでノルウェーへ

Posted December. 12, 2025 10:27,   

Updated December. 12, 2025 10:27


「私の脱出のために、多くの人が自らの命を懸けてくれた」

変装してベネズエラの潜伏先を抜け出し、11日(現地時間)、ノルウェーの首都オスロに到着した今年のノーベル平和賞受賞者で、ベネズエラ野党指導者のマリア・コリナ・マチャド氏(58)の言葉だ。マチャド氏は同日未明、ジーンズにダウンジャケット姿でオスロ市内のホテルに姿を見せ、支持者らと抱き合った。

マチャド氏は英BBCのインタビューで、この16カ月間、3人の子どもを含む「誰とも接触したり抱擁したりできなかった」と語った。2013年から強権統治を続けるマドゥロ大統領による拘束の脅威のため、マチャド氏は長らく潜伏生活を余儀なくされてきた。また指名手配および出国禁止状態でもあった。実際、オスロでマチャド氏を出迎えた支持者らは、スペイン語で「勇敢だ」を意味する「バリエンテ」を連呼し、ベネズエラ国歌を歌って応えた。

マチャド氏は、マドゥロ政権が自身を「逃亡者」とみなし、帰国すれば逮捕すると警告していることについて、「当然(ベネズエラに)戻る」と強調した。またマドゥロ政権を、一般的な独裁政権ではなく、麻薬や人身売買などに関与する犯罪組織だと痛烈に批判した。

マチャド氏は、反対派弾圧や不正選挙を繰り返すマドゥロ政権に抗して民主化運動を続けた功績により、ノーベル平和賞を受賞した。授賞式に出席するため潜伏先を出て、米国の支援を受けてオスロへ向かったが、悪天候などで到着が遅れ、9日の授賞式には出席できなかった。米国で暮らす娘のアナ・コリナ・ソーサ氏(34)が代理で受賞した。

マチャド氏の脱出過程は極秘裏に進められ、スパイ映画さながらだった。米紙ウォール・ストリート・ジャーナルによると、マチャド氏はかつらを着けて変装し、10時間にわたり10カ所以上の軍検問所を通過した。その後、木造船でカリブ海を渡り、オランダ領キュラソー島へ向かった。ここから専用機に乗り換えてノルウェーへ移動したという。ベネズエラの野党秘密組織が少なくとも2カ月間、この作戦を支援したとされる。

特に最近、トランプ米大統領がマドゥロ氏を「麻薬密輸組織のリーダー」と規定し、ベネズエラ船舶を撃沈するなど、カリブ海一帯の軍事的緊張が高まっていたことも変数だった。野党秘密組織は、マチャド氏一行が乗る木造船が麻薬運搬船と誤認されないよう、米軍と逐次連絡を取り合ったという。

実際、マチャド氏一行がカリブ海を渡航する間、米海軍のF18戦闘機2機がベネズエラ湾に進入し、約40分にわたり狭い円を描くように護衛飛行したという。これは今年9月以降、米軍機がベネズエラ領空に最も接近した事例だと、同紙は伝えた。


柳根亨 noel@donga.com