
韓国と米国は16日(現地時間)、米ワシントンで韓米関税交渉の妥結に向けた最終協議に入った。対米投資ファンドの造成方式が最大の焦点となる中、韓国政府は為替市場の状況などに応じて3500億ドル(約486兆ウォン)の範囲内で投資額を調整できる代案を米国側に提示したことが分かった。
金容範(キム・ヨンボム)大統領政策室長、金正官(キム・ジョングァン)産業通商部長官、呂翰九(ヨ・ハング)産業部通商交渉本部長は、米商務省でラトニック商務長官と会った。金容範氏は「2時間にわたって十分に話し合った」と述べた。
これに先立ち、具潤哲(ク・ユンチョル)副首相兼企画財政部長官は15日、ワシントンでカウンターパートのベッセント米財務長官と会い、3500億ドル規模の対米投資ファンドを先行投資(アップフロント)せよとの米国側の要求が韓国の為替市場の安定を損なう恐れがあるとの懸念を伝えた。
具氏は16日、「実務閣僚(ベッセント氏)は(全額先行投資が難しいという立場を)理解している」としながらも、「トランプ大統領がどこまで説得に応じて受け入れるかは依然として不透明だ」と述べた。
また3500億ドルの投資規模について、「さまざまな形の代替案があって、それが米国側に受け入れられるなら、変更の余地はあると主張している。道は開いておくべきだ」と述べた。
投資ファンドの総枠は3500億ドルで確定しつつも、ウォンとドルを組み合わせて分割投資する実際の資金は、市場状況に応じて調整できる方式を提示し協議しているとの意味とみられる。政府関係者は「最大3500億ドルが投資可能な金融構造をつくろうということだ」と説明した。
金容範氏や金正官氏らは16日、ホワイトハウスでトランプ氏の側近であるラッセル・ボート米行政管理予算局(OMB)局長とも会い、韓米造船協力「マスガ(MASGA)プロジェクト」についても協議を開始した。トランプ氏が強い関心を示していることから、ホワイトハウスが同プロジェクトの司令塔(コントロールタワー)を直接担うことになった。関税合意がまとまれば、大統領令などを通じて米国商船・軍艦の韓国建造を阻む規制を迂回する措置を整える構想に弾みがつく見通しだ。
アジア太平洋経済協力会議(APEC)首脳会議で関税合意の発表を目指す韓米両国は、来週まで協議を続けるものとみられる。当初18日にワシントンを出発し帰国する予定だった金容範氏らの帰国時期も延期されたという。
申圭鎭 newjin@donga.com






