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いまこそ整理されるべき「平和的2国家論」

いまこそ整理されるべき「平和的2国家論」

Posted December. 05, 2025 10:12,   

Updated December. 05, 2025 10:12


李在明(イ・ジェミョン)大統領は就任後、いわゆる自主派と同盟派の対立説について言及したことがない。大統領本人の本心は自主派に近いと言われるが、どちらか一方に肩入れするよりも、多様な意見が出る状況を見守ってきたというのが側近らの伝えるところだ。閣議で「黄色封筒法」をめぐり「産業通商資源部と雇用労働部の両長官が激しく議論すべき問題だ」と述べた言葉は参考になるだろう。内部的な討論と調整を通じて論議を最小限に抑えることができるという趣旨だ。

李政府の対北朝鮮政策は輪郭が固まったとされる。早ければ来週、遅くとも今月中には公表されるとみられる。国政課題を基に、平和共存の制度化、共同成長の基盤構築、核なき韓半島という3段階へ続く3大目標と3大原則、6大推進課題が確定した。

「非核化」という文言が抜け、北朝鮮核問題が後景に回った点に関心が集まっているが、「短期間で解決できない難しい課題」という李氏の発言や、北朝鮮の非核化「絶対不可」という反応を考えれば、この変化は予見されたものだった。むしろ李政府の対北朝鮮政策が最終確定されることを機に、政府の南北関係設定に対する立場がどう整理されるのか注視すべきだとの指摘が出ている。北朝鮮の「敵対的2国家論」と対照的な「平和的2国家論」に関する話だ。

統一部が主導して策定した3大目標のうち平和共存の制度化は、実質的に南北関係を「統一を志向する平和的な2国家関係」、すなわち鄭東泳(チョン・ドンヨン)統一部長官が主張してきた平和的2国家論を南北基本協定により制度化しようという意味を内包している。先に国政企画委員会は、南北基本協定について、東西ドイツが互いを対等な主権国家として認めた1972年の「東西ドイツ基本条約」をモデルとすると明らかにしている。

政府消息筋は「第一の対北朝鮮目標である平和共存の制度化が平和的2国家論に基づくという点は明示されない可能性が高い」と述べた。実際、平和的2国家論をめぐって「南北は事実上2つの国家」とする鄭氏と、「南北は統一まで暫定的特別関係」とする魏聖洛(ウィ・ソンノク)国家安保室長との意見の相違が公然と露呈した経緯があるためだ。

平和的2国家論は、北朝鮮を反国家団体や主敵ではなく正常国家と認める反憲法的対北朝鮮観だとの批判に対し、鄭氏は「デファクト(事実上の)国家とデジュレ(法的)国家承認という区分は空論だ」と反論した。西ドイツのブラント首相の東方政策により西ドイツが東ドイツの国家性を認めて統一へ進んだ事例と、平和的2国家論が類似するという論理だ。しかし意見の収れんには至らず、論議は現在進行形だ。

対北朝鮮3大目標を確定する過程では、国家安全保障会議(NSC)でも北朝鮮核問題の位置付けなどをめぐり鋭い論争があったという。しかし、これに加え、鄭氏の言う平和的2国家論が政府の立場として確定するのか、あるいはその逆となるのか、決着をつけるべきとの指摘がある。今回確定される対北朝鮮政策は、韓米首脳の対話再開の働きかけを受け、来年の対話テーブルに出るかを思案する金正恩(キム・ジョンウン)北朝鮮総書記に向けたメッセージになるためだ。交流(E)・関係正常化(N)・非核化(D)で構成される対北朝鮮「エンド(E.N.D)構想」をめぐり政府内でも「順次的なもの」と「相互に推進するもの」という異なる解釈が出ていたように、外交安保ラインの不協和音が再び露呈する事態があってはならない。