
12月にキャロルが聞こえてくる頃になるとディーゼルエンジンが思い浮かぶ。サンタクロースのそりを引くトナカイの名前がルドルフであり、ディーゼルエンジンを開発した人物が他ならぬルドルフ・ディーゼルだからだ。トナカイではなく、人名として最も頻繁に言及されるルドルフといえばディーゼルだろう。
19世紀末、ガソリンエンジンの開発を目にしたルドルフ・ディーゼルは、生産量が多くないガソリンだけでなく、ゴマ油やエゴマ油などあらゆる油でも作動できるエンジンを開発した。そのため、ディーゼルエンジンは設計により軽油から重油まで多様な燃料で動かすことができる。設計さえうまく行えば、本当に食用油を入れてディーゼルエンジンを動かすことも不可能ではない。
この特徴を利用した21世紀の人気製品がバイオディーゼルだ。バイオディーゼルとは、植物油を加工し一般的なディーゼル車のエンジンを回せるようにした燃料を指す。食用油の一種である菜種油を使用する事例が最も多く、廃食用油を集めてバイオディーゼルを製造することもできる。バイオディーゼルは農業生産によって作られるため、地下資源である石油とは違い枯渇の心配がなく、植物の光合成を利用して生まれた燃料であるため、二酸化炭素の排出量も少ない。そのため、一般的に環境に優しい燃料として評価されている。
そのため環境保全技術で先行してきたドイツをはじめ、欧州諸国がバイオディーゼルを特に好む傾向がある。環境のためバイオディーゼルを積極的に使用する制度を設ければ、欧州当局がバイオディーゼル企業を支援することにもつながる。参考までに韓国は石油を産出しないが製油産業が発達しており、精製したガソリンや灯油などの石油製品を世界各国に輸出している。欧州で石油の代わりにバイオディーゼルを使用させる制度を強化するほど、欧州の消費者は韓国産石油製品ではなく欧州産バイオディーゼルを選ぶようになる。
先進国の環境当局は、自国企業と歩調を合わせ産業発展のために環境保護政策を活用することが非常に多い。環境保護といえば企業との対立や産業抑制を想像する固定観念が依然として強いが、現実とは隔たりがある。近年、中国が農業生産力と発達した化学技術を背景に、欧州へバイオディーゼルを輸出しようと試みており、これに対抗し欧州で中国産バイオディーゼルの流入を防ぐ政策変更の動きも見られる。このように環境当局が産業界を理解しながら環境保護策と経済発展策を同時に模索する努力が、韓国にもより必要だと考える。
『ルドルフ・ディーゼルミステリー』は、ルドルフ・ディーゼルの生涯と謎めいた最期を豊富な資料とともに紹介した本だ。特にディーゼルエンジンの誕生と普及の過程を説明するため、当時の産業変化、経済変化、政治、戦争など幅広い社会状況をゆったりと描き出す。長い冬の夜に、さまざまな興味深いエピソードを噛みしめながら読むのにぴったりの一冊だ。特に、最近話題となっているバイオディーゼルの問題のように、ひとりの科学者の発明が社会とどのように結びついているのかを理解するうえでも良い本である。






