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「異質な」上階の生活音が生んだ出会い  いちばん大事なのは「キレのあるセリフ」

「異質な」上階の生活音が生んだ出会い  いちばん大事なのは「キレのあるセリフ」

Posted December. 05, 2025 10:12,   

Updated December. 05, 2025 10:12


「毎晩響く『異質な』上階からの生活音をきっかけに、上の階の夫婦(ハ・ジョンウ、イ・ハニ)と下の階の夫婦(コン・ヒョジン、キム・ドンウク)が一夜の食事を共にし、予測不能の物語が展開する」

この挑発的な紹介文は、俳優ハ・ジョンウ(47・写真)がメガホンを取った映画『上の階の人たち』の作品紹介(作品の核心を一言でまとめた説明)だ。予想通り、本作は19歳未満観覧不可のコメディ。しかし3日に公開されると、「R指定でも足りない」という評価が相次いでいる。夫婦の性生活など、相当に大胆な題材を扱っているためだ。公開前日の2日、ソウル鍾路区(チョンノグ)のカフェで会ったハ氏は「最後までやり切るつもりだった」と語った。

本作は、ハ氏にとって4作目の監督作。2013年の『ローラーコースター』、2015年の『いつか家族に』、2025年の『ロビー』に続く作品だが、興行面の反応は芳しくなかった。ハ氏はこれまでの作品を振り返り、「語ろうとする話が多すぎた」と述懐した。そこで今回は、俳優も空間も最大限に削ぎ落としたという。

物語は家という限られた空間で、4人の俳優が交わす会話を中心に展開する。だからこそ「キレのあるセリフ」が重要だった。ハ氏はそれを磨くため、お笑い芸人のクァク・ボム、イ・チャンホ、オム・ジユンらに台本チェックを依頼した。題材を安易に扱わないため、制作以前には多様な性嗜好を扱うオンラインコミュニティに入り取材も行った。

「最初から最後まで、ひとつのセリフも雑にならないよう言葉を集めました。10代の新語から『ゴッドファーザー』や『ティファニーで朝食を』の名台詞まで」

そのため、撮影現場で笑いが起きることは多くなかったという。セリフ量が膨大だったからだ。主演のイ・ハニは作品の完成版を観て、初めて映画がコメディだと知ったという裏話もある。ハ氏は「息もできず、目も閉じられないまま演じなければならないシーンも多く、短時間で集中力を注ぎ込む必要があった」と振り返った。

刺激的な素材を掲げる作品だが、最後は「関係の再生」というメッセージを投げかける。下の階の妻ジョンア(コン・ヒョジン)の感情線が中心となるのもそのためだ。長く孤独を抱えてきたジョンアが、上の階の夫婦との食事を通じて、長らく向き合ってこなかった夫との関係を見つめ直す旅路としても読める。ハ氏は、「ジョンア役は迷わずコン・ヒョジンを思い浮かべた。彼女は野性味のある語り口で、演技が非常にリアルに感じられる」と語った。

「どん底まで落ち、夫婦が別れ寸前まで行きながら再び繋がり、互いを理解し受け入れていく。そうしたドラマこそが『上の階の人たち』の隠れた見どころだと思います。涙が少し、目が赤くなる程度でも十分。ハハ」


キム・テオン記者 beborn@donga.com