李在明(イ・ジェミョン)大統領が指名した17人の閣僚候補に対する国会人事聴聞会を前に、一部の候補者をめぐる疑惑が相次いで浮上している。研究不正、不動産投機、脱法的な贈与、公職者の利益相反など、釈然としない点が多い。しかし候補らは納得のいく説明や証拠資料を提示することなく、物議を醸している。
副首相兼教育部長官候補の李鎮淑(イ・ジンスク)氏は、教え子の学位論文を剽窃したとの疑惑が持ち上がると、「忠南(チュンナム)大学総長の任用時に検証に問題はなかった」という返答を繰り返している。しかし李氏が2018年に発表した2本の論文は、その直後に出された教え子の博士論文と研究設計・結論が酷似していることが明らかになった。さらに李氏の該当論文は内容が類似しているにもかかわらず、1ヵ月の間隔で2つの学術誌に掲載されていた。「指導教授は教え子より先に論文を発表してはならない」という倫理規定に違反している。教育部長官は大学の研究倫理を管轄する立場であり、徹底した検証が必要だ。
外交部長官候補の趙顕(チョ・ヒョン)氏は、自身の所有するアパートの賃貸権契約をサムスン電子と締結した。候補側は「当該企業の弁護士だった息子が会社から住居費の支援を受けていたため」と説明したが、実際にはその期間、息子が趙氏宅に住民登録していた事実はなかったという。中小ベンチャー企業部長官候補の韓聖淑(ハン・ソンスク)氏は、家族に不動産を無償または安価で脱法的に贈与・賃貸したとの疑惑が浮上している。保健福祉部長官候補の鄭銀敬(チョン・ウンギョン)氏は、疾病管理本部長として新型コロナウイルス感染症の対応をしていた時期に、夫が手指消毒剤関連の株式を購入していたことで、公職と関連した利益相反の可能性があり、説明責任が避けられない。
にもかかわらず、候補たちは「人事聴聞会で説明する」との返答を繰り返している。国民に奉仕する公職候補であれば、疑惑が浮上した時点で速やかに透明性をもって釈明するのが国民への責務だ。それすらしないのは、「聴聞会一日だけ乗り切ればいい」という態度と見なすしかない。国会採決を経て任命された金民錫(キム・ミンソク)首相も財産増加の疑惑が強まると、「聴聞会で説明する」と言ったが、当日は何の資料も提出しなかった。
首相とは異なり、長官候補は国会の承認投票を経る必要がない。そのため、聴聞会後に野党が反対しても大統領は任命可能だ。しかし、そうした形で疑惑をうやむやにするのは、高位公職者候補の資質を検証する人事聴聞会そのものを形骸化する行為だ。候補らは任命されれば長官となり、閣僚として国政の最高意思決定に関与することになる。今からでも、提起された疑惑に対して謙虚かつ誠実に説明する姿勢を示さなければならない。
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