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戦争下で核戦力増強競争 韓国、核抑止の「グランドプラン」あるのか

戦争下で核戦力増強競争 韓国、核抑止の「グランドプラン」あるのか

Posted March. 13, 2026 11:21,   

Updated March. 13, 2026 11:21


5年に一度開催される核不拡散条約(NPT)再検討会議が6週間後に迫った。世界各国が集まり「核兵器保有国は削減し、持たない国は新たにつくらない」ことを誓うこの会議は、今年はこれまで以上に重い空気の中で開かれる見通しだ。外交関係者の間では「核不拡散の最後の試金石になるかもしれない」との危機感が漂っている。2015年のNPT再検討会議は中東非核地帯の設置を巡る対立で、コロナ禍で2年遅れて開かれた22年の会議はウクライナ戦争の影響で、いずれも最終文書を採択できなかった。今回の会議まで成果なく終われば、世界の核破滅を防ぐために作られた国際不拡散体制が「形骸化した条約」に転落しかねないとの懸念も出ている。

こうした中、各国は「核抑止」競争に乗り出している。核抑止は「相手が核攻撃をすれば、こちらも核で報復する」という相互確証破壊の原則に基づいて機能する。核兵器の恐怖を逆手に取り、軽率な攻撃を防ぐ心理的かつ軍事的装置だ。核保有国は核戦力を増強し、核を持たない国は同盟国の「核の傘」による拡大抑止で抑止力を確保する。

冷戦後しばらくは核削減の流れが一定の力を持ったが、自国優先の国際秩序が強まるにつれ、「力がなければやられる」という恐怖が広がっている。核保有国のロシアはウクライナ侵攻後、戦術核の使用にたびたび言及し、露骨な核の威嚇に出た。北朝鮮と中国は核戦力の急速な増強に乗り出し、イランも国際社会の目を逃れて数百キロの高濃縮ウランを隠匿してきた状況が明らかになった。

米国の同盟国の間でも核武装論が浮上している。フランスのマクロン大統領は「核弾頭数(現在約290発)をさらに増やすことを決めた」と述べ、核戦力強化の考えを公然と示した。核保有国が競うように核兵器を増強し、同盟体制も弱まる中、核を持たない国も核開発を探る動きが広がる様相だ。

こうした中、「核なき韓半島」を掲げてきた韓国政府の悩みは深まらざるを得ない。北朝鮮が米国に核保有国としての地位承認を求めつつ核戦力増強を進める中、長年、北朝鮮の非核化を外交目標の最上位に据えてきた韓国の戦略的余地は狭まっている。韓米核協議グループ(NCG)など拡大抑止が弱まるのではないかとの懸念も、不安を増幅させかねない。

核増強競争の波が高まる今、韓国政府は核抑止の「グランドプラン」を描いているのだろうか。非核化原則を守りつつ、現行のNPT体制が認めるウラン濃縮や再処理権限の拡大、原子力潜水艦など「平和的核利用の権利」を広げることが急務だ。北朝鮮の核脅威に対応するための通常戦力の強化も課題だ。政府の司令塔は当面の防衛産業輸出実績の宣伝にとどまらず、米国の拡大抑止と連動する先端戦力の整備に全力を注がなければならない。不拡散原則を守りながらも、いつ起きてもおかしくない核開発ドミノを念頭に置いた備えも必要だ。周囲の様子をうかがうだけで得られる安全保障はない。