
「済州(チェジュ)4・3アーカイブ」と「山林緑化アーカイブ」がユネスコ世界記憶遺産に登録された。1997年の「訓民正音(解例本)」と「朝鮮王朝実録」の登録で第一歩を踏み出した韓国のユネスコ世界記憶遺産は、これで20件に増えた。
ユネスコ韓国委員会と韓国国家遺産庁によると、10日午後(現地時間)、フランス・パリで開かれた第221回ユネスコ執行理事会で、「済州4・3アーカイブ」と「山林緑化アーカイブ」が世界記憶遺産に最終登録された。92年から始まったユネスコ世界記憶遺産は、世界的な影響力を持つと判断される人類の主要な記録が選定対象だ。書籍や写真、地図、楽譜、音声記録物などが含まれる。
「済州4・3アーカイブ」は、47年から54年まで済州島で起こった民間人虐殺に関連する記録物を指す。当時の犠牲者と遺族の被害申告書や口述証言、民間と政府機関の真相究明過程など1万4673件が網羅されている。韓国政府や米軍、蜂起勢力など利害当事者が各自生産した記録物も含まれている。
4・3記録物は、冷戦が拡大し、地域別にも発生した当時の世界的な様相を集約的に示す貴重な資料と評価された。ユネスコ韓国委員会は、「国家暴力と真実究明、歴史的和解の過程を盛り込んだ記録物としてその価値が認められた」とし「韓国現代史の痛みと回復が世界が共に記憶すべき価値ある記録として認められたという点で意義がある」と強調した。
済州4・3犠牲者遺族会の金昌範(キム・チャンボム)会長は、「4・3の英霊と犠牲者、遺族に記録物を届けたい」とし、「今回の登録を機に、傷が少しでも癒えることを願う」と述べた。済州は、ユネスコ世界自然遺産(火山島と溶岩洞窟)をはじめ、生物圏保存地域、世界地質公園、人類無形文化遺産に続き、記録遺産まで5つの分野で登録リストに名を連ねた。
「山林緑化アーカイブ」は、韓国戦争後、荒廃した国土で政府と民間が協力し、山林緑化に取り組んだ経験を収めた資料だ。緑化事業に関連する官報、法令、冊子、写真など9619点で構成されている。「大規模砂防事業(荒廃地復旧予防事業)」、「火田整理事業」に関する記録物は、他の国では見られない事例として評価された。
韓国国家遺産庁は、「韓国は開発途上国から先進国の仲間入りを果たし、山林緑化にも成功したほぼ唯一の国」とし、「他の開発途上国が参考にできる模範事例であり、気候変動への対応や砂漠化防止など国際的な問題にも手本となる」と説明した。
今回の登録により、韓国はユネスコ世界記憶遺産を20件保有することになった。「承政院日記」(2001年)と「東医宝鑑」(09年)、「5・18民主化運動アーカイブ」(11年)、「乱中日記」(13年)、「4・19革命アーカイブ」(23年)などが登録されている。
イ・ジユン記者 済州=ソン・ウンボム記者 leemail@donga.com