原油高の危機を受け、「自動車10部制」が導入される可能性があるという。「生計のため毎日トラックを運転する人はどうするのか」「10部制は強制か選択か」など、すでに議論は過熱している。民間に10部制が適用されれば、湾岸戦争で原油価格が急騰した1991年以来35年ぶりとなり、政府としても容易に結論を出せないだろう。
本来、このようなエネルギー需要抑制策はもっと早く導入されるべきだった。韓国はエネルギー資源に乏しい国でありながら、これまで湯水のごとくエネルギーを消費してきた。エネルギー自給率は約18%で、経済協力開発機構(OECD)加盟国の中でも下位圏だ。石油やガスは全量を輸入に依存している。需給が不安定であるにもかかわらず、1人当たりの電力消費量はカナダ、米国に次いで世界3位とされる。
電力を大量に消費できる背景には、低廉な電気料金がある。グローバル・ペトロール・プライスによると、韓国の家庭用電気料金は2024年基準で1キロワット時(kWh)当たり106.3ウォンだ。OECD加盟国で韓国より安いのはカナダのみだ。
そのためか、「生活物価が上がった」という声は多い一方で、「電気料金が高すぎる」という不満は大きくない。欧州は事情が異なる。フランスでは通常、春から初夏にかけて前年の使用量に基づく1年分の「年間精算料金」の請求書が各家庭に届く。支払いは月ごとだが、年間額が一度に提示されるため、通知の時期になると皆どれだけ上がったかという話で持ちきりになる。ドイツでは2022年のロシアによるウクライナ侵攻でエネルギー価格が急騰すると、ベルリン、ケルン、デュッセルドルフなど各地で抗議デモが相次いだ。
韓国の電気料金が特に安いのは、政府の価格統制力が強いためだ。電力は公共性が高く、原油価格が上昇しても容易に料金へ転嫁することは難しく、政府が統制してきた。過去に低く設定された産業用電気料金は経済成長を支え、半導体や鉄鋼などで世界的な製造競争力を維持する要因となった。
しかし、市場論理に過度に逆行する政治的な価格統制はエネルギーの過剰消費を招きかねない。料金引き上げ要因があっても、政府は政治的理由で据え置きを選択することが少なくない。票との関連が薄い産業用料金は引き上げられてきた一方、有権者が敏感に反応する住宅用や一般用(商業用)は2023年5月以降、引き上げられていない。
低料金によって膨らんだ需要を抑制できなければ、どれほど多様なエネルギー政策を打ち出しても「底の抜けた桶に水を注ぐ」ようなことになりかねない。需要抑制に失敗したままエネルギー問題が深刻化すれば、それは単なる需給問題にとどまらず、韓国経済全体を揺るがす事態となるだろう。先月28日に米国とイランの戦争が始まって以降、原油価格は瞬時に1バレル=100ドルを超え、変動の大きいウォン・ドル相場も心理的節目の1500ウォンを突破した。エネルギー需給管理が安全保障の核心となった現実に合わせ、電気料金の決定体系も見直す必要がある。
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