「アメリカンコーヒー、3つください」。
「え?3つ?(周りを見渡してから)、3つって何ですか?」
客はようやく笑いながら、指を三つ示した。
「あ!3杯!すみません」。
タイ出身のナム・アンティカさん(35、女)は、そのつど、途方に暮れる。韓国での生活がすでに6年目に入っているが、いまだ韓国語は難しい。「少し薄めに」、「あまり熱くなく」、「やや甘味を控えて」などのようなオーダーには、いつも戸惑ってしまう。気の強い客にでも会ったら、途方に暮れ、カウンターの前に立つことすら怖くなる。
わき目を振る隙などない。列に並んでいる客がすでに、6、7人もいる。アンティカさんは、明るい笑みで、次の客を迎える。「こんにちは。何にしますか?」
●味で勝負する
先月29日、ソウル江南区大峙洞(カンナムグ・デチドン)ポスコビル4階の職員休憩スペース内の「カフェオアシア」。2月18日に正式にオープンしたこのカフェが、口コミに乗ってポスコ職員らの間で名所となっている。カフェオアシアは昨年12月、協同組合基本法が実施されたあと、2月、雇用労働部から正式認可を受けた第1号の社会的協同組合(公益を目的とする協同組合)だ。
直営1号店の職員は計4人。アンティカさんとカンボジアから来たバン・マリーさん(27)は昨年12月に試験的にオープンした時から働いている創立メンバーだ。カンボジア出身のインターン社員のラン・シニスさん(23)は、出勤を始めてからちょうど2週間を迎えているという。彼女らは皆、韓国人と結婚し、故郷を離れてきた結婚移住女性だ。そして、彼女らの頼もしい「姉貴」べク・ミヒョン氏(41)が、カフェの経営を手助けしている。
コーヒー価格は格安だ。アメリカンコーヒー1杯が1500ウォン。ポスコが賃貸料を受け取らず、価格を引き下げることができた。だからといって、低価格で勝負しているわけではない。べク氏は、「基本はコーヒーの味だ」とし、「最もおいしいコーヒーを提供するため、ロースティング方法について研究した末、最近は、『オアシアのブレンド』まで開発した」と強調した。
カフェオアシアの常連となったポスコ経営診断室のソン・チャンウ・マネジャーは(35)は、「社会貢献というよい趣旨もあるが、コーヒーの味が優れていて、たびたび訪れている」と話した。
●お弁当トークの奇跡
大峙洞1号店には1日平均500人あまりが訪れている。その大半がポスコ職員だ。1日の売上高は120万〜130万ウォンに上る。設立当初は、夢見ることすらできなかった大金だ。べク氏は、その原動力を、「チームワークの回復」から求めている。
歯車のように回るコーヒー店で、言葉の壁は大きな障害だった。韓国語を少し話せるとは言え、コミュニケーションは容易ではなかった。話したい言葉があっても、思いっきり話すことができなかった。アンティカ氏やマリー氏は、2月のオープンを控え、大喧嘩をしたこともある。仕事が公平に割り振られなかったという誤解のためだった。感情が激した二人は、「辞める」と言い出したほどだった。
drake007@donga.com






