トランプ米大統領が20日(現地時間)、再選から1年を迎えた。この1年、トランプ氏の一言やソーシャルメディアの投稿一つで、世界経済と安全保障の枠組みはまるでジェットコースターのように揺さぶられた。その過程で、異例、さらには衝撃的といえる決定も少なくなかった。「本当にそこまでやるのか」と疑問視された措置が、実際に実行に移されたケースも多い。文字通り、「まさか」が「現実」になった1年だった。
第1次政権(2017年1月~21年1月)の頃は、トランプ氏はまだ慎重な(?)方だった。当時も中国などへの通商圧力を強めてはいたが、為替操作国の指定や鉄鋼関税といった具体的措置に踏み切ったのは、就任2年目の18年になってからだった。このため、「発言ばかりが先行する」との声も少なくなかった。
ところが第2次政権では、就任直後の昨年2月から「関税爆弾」で世界的な通商戦争の幕を開けた。韓国や日本、欧州連合(EU)といった主要同盟国に対しても高関税を課し、米国内外の懸念や批判を意に介さなかった。露骨に同盟国に対して「米国に投資せよ」と迫り、大規模な対米投資を引き出した。
外交・安全保障の分野でも、何度も世界に衝撃波を投げかけた。昨年6月には、米国史上初めて「宿敵」であるイランの本土を空爆した。今年初めには、ベネズエラのマドゥロ大統領を軍事作戦で拘束し、米国へ移送した。「マドゥロ排除」は、トランプ氏が自身の構想を電光石火で実行に移していることを象徴する出来事だ。昨年12月4日に公表された新国家安全保障戦略(NSS)では、西半球における影響力強化が強調されたが、わずか1カ月後に、この地域を代表する反米・親中国国家であるベネズエラに手を付けた形だ。
最近、声高に主張するグリーンランドの併合やイラン政権の交代を、国際社会は深刻かつ不安をもって見ている。かつてなら深く取り合われなかった、あるいは無視されたかもしれない大統領の発言に、いまや世界が緊張している。「トランプ氏なら、本当にやりかねない」という見方が現実味を帯びているからだ。
こうした大胆、いや過激とも言える行動の源はどこにあるのか。予測不可能性、強い承認欲求、徹底した利益追求といった本人特有の性向が影響しているのだろう。加えて1期目と異なり、周囲に専門性と経験を備えた、いわゆる「大人たちの軸」が見当たらない点も大きい。現在、政権周辺を占めるのは忠誠心を最優先する「MAGA(米国を再び偉大に)」陣営の人物が大半だ。
しかし最大の要因は、トランプ氏に再選の可能性がないことにある。次の任期がない以上、望む政策をより大胆に、場合によっては無理を承知で押し通す動機が生まれうるということだ。専門家の間でも「2期目の大統領は、1期目では避けたリスクを取りがちだ」と口をそろえる。また、自身の「歴史的遺産」を残そうとする傾向も強まるという。実際、オバマ元大統領も再選後、任期末の15年に「イラン核合意」といった論争的な政策を推し進めた。
これは、米朝対話、在韓米軍、米中関係など、韓国の安全保障と経済に多大な影響を及ぼし得る課題が、トランプ氏の残り任期中に大きく動く可能性があることを示唆する。トランプ氏の性向と「次はない」という条件が、予測困難な変化を引き起こしかねない以上、韓国としては多層的なコンティンジェンシー・プラン(緊急時対応計画)の整備が求められる。
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