ネットカフェ社長、餅屋の店主、銭湯の店主…。これまでお客と店主の関係で何度も顔を合わせた人々だ。しかし、交わした対話は、「いくらですか」と「ありがとうございます」ぐらいしかなかったようだ。まして彼らの苦情を何時間ずつ聞いたことはない。
本紙と中小企業オンブズマン室は12日から1週間間、中小企業と小商工人を苦しめる「爪の下のトゲ」を探して生々しく現場を報道した。そのおかげで、全国小商工人団体連合会から賞まで贈られた。しかし、本紙産業部を代表して授賞式に参加した本記者は正直恥ずかしかった。「これまでどうして小企業と小商工人の困難にそっぽを向けていたのだろうか」という考えからだった。
振り返ってみれば、様々な小商工人団体が声明書を出すと、ざっと目を通して、「話にならない」と関心を持たなかったことが多かった。ピケットデモ、集団休業など集団行動に乗り出すと、もう少し関心を持つぐらいだった。
言い訳がないわけではない。彼らの主張は大体、「我々の業種を保護してくれとか支援金をよこせ」ということだった。どうして法と制度を自分たちに有利に変えなければならないのか、筋を通して説明できる人はほとんどなかった。そこで「ただをこねる」ことのように聞こえ、「集団利己主義」に思えた。
どの規制がどうして必要なのか論理的に説明できる専門家は多い。規制を作った行政省庁は例外を置くのを嫌がる。ともすれば、特恵議論が出かねないし、例外が多くなれば、規制の枠の全体が揺さぶられるためだ。そのような公務員と専門家集団を相手に論理争いをするためには相手を圧倒する専門性を持っていなければならないが、小商工人には期待するのは難しい。そのため、小商工人の主張は一見すれば、論理的でないか現実性のないように聞こえたりもする。
ソウル城東区鷹峰洞(ソンドング・ウンボンドン)のあるビルの地下ネットカフェで社長の話を1時間以上聞いている間、これまでの態度が間違えていたことに気づいた。ネットカフェ関連規制が持つ非論理性・非現実性が感じられた。落ち着いて聞いていると、ネットカフェ社長の話には筋が通っていた。
報道しなかった「爪の下のトゲ」も多かった。ばっちりのケースなのに、当事者が最後まで取材を拒否した場合もあり、当事者の苦労は十分理解できるが、規制の必要性を否定し難いケースも、既に報道された事案なので、「記事として価値」が下がると判断したケースもあった。
最近会った中小企業関連機関の主要関係者は、「中小企業の問題を解決するためには、何より『愛情』を持たなければならない」と話した。小商工人と中小企業人に愛情を持って接し、彼らの爪の下のトゲを抜くことに一助する記事を引き続き書きたい。






