「時間が迫っている。誇張したり、人を非難したりする余裕はない」
潘基文(パン・ギムン)国連事務総長は15日、国連気候変動枠組み条約第15回締約国会議(COP15)出席のため、コペンハーゲンに向かう直前のニューヨーク国連本部での記者会見で、このように述べ、世界の指導者らが妥協点を探る努力をするよう求めた。さらに、「すべての交渉を首脳が解決する終盤まで残しては、交渉は弱まり、結局何も導き出すことができない恐れがある」と警告した。
●先進国、温室効果ガス排出削減を約束
中国やインドを含む135カ国の途上国代表は14日、先進国の温室効果ガスの排出削減努力が不十分だとして、すべての作業部会を拒否し、18日の首脳会談もボイコットすると宣言した。協議の実現が危ぶまれると、海水面の上昇で水没危機に直面しているモルディブのナシード大統領は、演説で「政治紛争には『ギブ・アンド・テイク』式の交渉が可能だが、気候変動のような自然の法則は交渉の対象ではない」と主張した。
先進国が非公式の対話チャンネルで、温室効果ガスの排出削減努力を約束すると、途上国は5時間後に協議復帰を宣言した。EU議長国スウェーデンのカールグレン環境相は15日、「先進国と途上国が、ともに合理的な解決策を見出した」とし、途上国が各作業部会に復帰したことを伝えた。
協議再開後、先進国と途上国は、最大争点である見解の相違で歩み寄るため、詳細問題を検討する担当国家を選定した。英国とガーナは、途上国の気候変動対応努力を支援する数十億ドル規模の基金作りの案を協議し、スペインとグレナダは、2020年までに温室効果ガス排出削減の責任を分担する方法を検討することを決めた。また、シンガポールとノルウェーは、基金作りに向けバンカー油に課税する案を検討する予定だ。
スティーブン・チュー米エネルギー長官は14日の会議で、米国、イタリア、英国などの先進国が途上国にクリーンエネルギー技術を伝えるために、向こう5年間で3億5000万ドルを支援する計画だと明らかにした。
「再生可能エネルギー開発イニシアティブ」と名づけられた同計画には、2010年に全世界国家が参加するクリーンエネルギーに向けた閣僚級会談の開催案が含まれている。日本政府も、途上国の生物多様性への取り組みと地球温暖化対策を後押しするため、2012年までに100億ドル規模の支援計画を明らかにする予定だと、東京新聞が15日付で報じた。
●「途上国」韓国の戦略
削減目標を自発的に発表し、先進国から何の支援も受けないと宣言した韓国の戦略は、波紋を呼んでいる。「自ら温室効果ガスを削減する」という印象を与え、義務削減国になることを求める声を最大限静めるための手段だったと評されている。
韓国は、削減量を世界に公開する「途上国削減行動登録リスト」作成のアイディアを出した。ただ、希望する国家だけが登録し、その他の国家は、自ら削減量を検討できるよう国家報告書を提出することを提案した。また、登録リストに削減した温室効果ガス量を登録すれば、その量だけ先進国から必要な技術の支援を受けることができる「炭素クレジット」制度の運営も提案した。
一方、韓国内の環境財団気候変動センターは14日(現地時間)、総会イベントで温暖化にともなう気候変動の程度を時間で表わした気候危機時間が「10時37分」を指し、「非常に危険(Highly Risk)」を示した。気候危機時計は12時に近いほど危険を意味する。韓国は、調査対象24カ国のうち10位だった。
takeoff@donga.com raphy@donga.com