米ワシントンのスーダン大使館の前で、２７日、与党民主党の連邦下院議員５人が、警察に逮捕された。スーダン政府の国際救援団体の追放命令に抗議した議員たちが、ポリスラインを越えたのだ。警察は、議員たちが３度の警告にもかかわらず、ポリスラインの外に出ないため、手錠をかけて連行した。米ホワイトハウスの正門前では、６０代の老婦人が２８年間、テントを張って１人でデモをしているが、警察は放置している。米国の警察は、合法デモは徹底して保障するが、不法デモには厳しい法を執行するということを示すケースだ。
◆先進国、後進国を問わず、不法暴力デモが韓国のように頻発に起こる国は珍しい。昨年の狂牛病（ＢＳＥ＝牛海綿状脳症）デモの時は、暴力デモ隊がソウルの中心を３ヵ月間も支配した。警察官が不法デモを抑えるどころか、デモ隊に集団暴行を受ける事態が起った。ソウルのあるホテルでは、２７日、テナントの賃貸者が裁判所の明け渡しの執行を阻止するためにガスボンベを持ち出し、警察官と１０時間も対峙した。龍山（ヨンサン）デモの惨劇を思い出させる。このような姿を見れば、経済協力開発機構（ＯＥＣＤ）加盟国３０ヵ国の中で、法秩序の順守レベルが２７位になったのも当然だ。
◆集会やデモの現場に警察がポリスラインを張ることは、合法的な集会とデモを保護し、公共の秩序を維持するためだ。ポリスラインの侵犯は、６ヵ月以下の懲役または５０万ウォン以下の罰金にあたる犯罪行為である。しかし、ポリスラインを尊重するデモ隊は珍しい。警察が、ポリスラインを厳格に適用すれば、過剰鎮圧に追い込まれるのが現実だ。金大中（キム・デジュン）政府の時は、デモの現場に女性警察官で「リップスティック・ライン」を取り入れたが、女性警察官だけを苦しめた。
◆不法暴力デモが消えるには、法秩序の確立に関する政府の意志が確固で、法を作る国会議員が順法を率先しなければならない。ポリスラインの侵犯で警察官に逮捕された米国の議員たちが、警察に抗議したという話は聞かれない。韓国では想像もできないことだ。国内で「金バッジ」がポリスラインを侵犯して逮捕されれば、すぐさま警察庁長官の辞任を要求するだろう。警察は最近、「申請を受けたすべての集会現場で、ポリスラインを張る」と宣言した。警察もデモ隊も、どれだけ守れるだろうか。
権順澤（クォン・スンテク）論説委員 maypole@donga.com
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