インターネット経済論客「ミネルバ」の拘束を決定した判事の顔写真、履歴などが、ネット上に無差別に流され、匿名性を盾にした「ネット魔女狩り」という指摘が出ている。
10日、ソウル中央地方裁判所の金容祥(キム・ヨンサン)令状担当部長判事は、ミネルバとされる朴某容疑者(31)に対して、「事案の性格および重大性に照らして、拘束捜査の必要性がある」として、逮捕状発行の判決を下した。
この判決が伝えられると、同日午後から、ネットのポータル「ダウム」を中心に、金判事の顔写真、出身高校と大学、身辺情報のほかに、金判事を非難する書き込みが始まった。
11日には、多くのポータルサイトの掲示板やブログなどに、金判事の写真と情報が流された。ブログなどに掲載された金判事の写真の下には、「法服を脱ぐべきだ」、「性格が悪そう」、「李明博(イ・ミョンバク)苦情処理担当のフィクサーか」など、人身攻撃性の悪口に近い書き込みが続いた。
あるネットユーザーは11日午後から、ダウムのアゴラで、「ミネルバの逮捕状を出した金容祥判事を弾劾しよう」という署名運動を行なっている。
一部のネットユーザーは、民主党の金民錫(キム・ミンソク)最高委員や、盧武鉉(ノ・ムヒョン)前大統領の兄・盧建平(ノ・ゴンピョン)氏関連事件に対しては令状を出したが、親朴連帯比例代表の梁貞禮(ヤン・ジョンレ)議員の母親の金順愛(キム・スンエ)氏、孔貞澤(コン・ジョンテク)ソウル市教育監に対しては、令状を棄却したといった内容まで流した。
ネットユーザーたちが、裁判所の判決に不満を表わしたことは、今回が初めではない。昨年には、李健熙(イ・ゴンヒ)三星(サムソン)グループ会長の経営権不法継承容疑に対して無罪の判決を下したソウル中央地方裁判所の閔丙勲(ミン・ビョンフン)部長判事に対して、一部のネットユーザーが、「三星に免罪符を与えたのではないのか」と批判した。
このため、気に入らない判決に対して、判事に事実上の「サイバーテロ」を加えることは、司法制度の根幹を揺るがす重大な行為であるとする批判が多い。
会社員の李テモ氏(36)は、「判決が気に入らないからといって、判事の写真を公に流して非難することは、匿名性を盾にした魔女狩りであり、人民裁判だ。判事たちが萎縮しないか心配だ」と語った。
法曹界では、ネットユーザーの無差別的な行動が、むしろ彼らが反対する「サイバー侮辱罪」の導入の契機になる恐れがあると強調する。
高麗(コリョ)大学法学部の張永洙(チャン・ヨンス)教授は、「法官に対してまでこのようなサイバー攻撃をするほど、ネットユーザーが自省できないという認識が広がれば、サイバー侮辱罪の導入が正当化されるきっかけになるだろう」と語った。
zozo@donga.com






