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人育ての達人、韓化の金寅植監督

Posted September. 10, 2005 08:08,   

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映画「ウェルカム・トゥ・トンマクゴル」に出てくる村長のような人。いるようでいないようで、「ただ村人に何かとたくさん食べさせないと…」と言葉を濁す人。プロ野球韓化(ハンファ)の金寅植(キム・インシク)監督はそういう人だ。

最近、彼がホットな話題になっている。大田(テジョン)高校のコーチをしていたチ・ヨンギュを連れてきて、優れたクローザー(9日現在20セーブ)に育てたり、誰も目をかけなかった「風雲児」チョ・ソンミンの心に火をつけて、「感激の一勝」を取らせたり。それだけでない。起亜(キア)が捨てた金インチョルはすでに韓化の主要バッター(打率0.290)として、猛活躍している。なのに、金監督は知らん振りで通している。8日、ちょうどSK戦のため、仁川(インチョン)に来ている金監督と宿舎で会った。

「ハハハ。どうしてこんなに騒がれるのかわかりません。本当に恥ずかしいです。何もかも本人たちが頑張ったおかげで、私がやったことは何もありませんから。私が『リハビリの神様』で、「リハビリの工場長」だなんて…。知り合いがこのごろインターネットで流行している『金寅植パロディー』を見せてくれたんですが、何も言えませんし…ハハハ」。

「金寅植パロディー」は、金監督が野球解説をしているチョ・ソンミンに、「そこで何やってるんだい。野球をしないと…。すぐ呼ぶから体作りに励んでいてくれ」と言ったのをパロディー化したもの。引退後、ロッカーに変身した李尚勲(イ・サンフン)に、「君の居場所はクラブじゃないぞ。呼び出すまでに体力を付けておけ」というふうだ。パロディーには宣銅烈(ソン・ドンヨル)三星(サムスン)監督、チェ・ドンウォン韓化コーチ、そしてサッカー選手の李東国(イ・ドングク)も登場する。

金監督は無口な人だ。練習の時は、後ろ手をして運動場をうろうろする。試合中にも作戦の指示をあまり出さない。今季、専門家の多くは韓化を「最下位1位」と挙げた。しかし、9日現在、韓化は4位の座をキープしている。

「作戦のない作戦こそ最高の作戦です。ボールカウントがスリーボールの時や、ワンストライク・スリーボールの時、打者に思うきって打てと言います。そうした状況で作戦を出せば、打者は悪球でも仕方なく打たなければなりませんから。球は気楽に打ってこそよく当たります。韓化は、今期本塁打1位のチームですが、これが一番嬉しいです」。

金監督は選手のことを信用している。選手がミスをし続けても我慢して待つ。監督としては苦しい限りである。しかし、その選手がいつかは自分の務めをまっとうしてくれた時、初めて、後ろ向きになって牛のようににやっと笑う。

「サンバンウル時代、9連敗に合っていた金ウォンヒョン(現SK投手)投手が光州(クァンジュ)で当代最高投手の、ヘテの宣銅烈(ソン・ドンヨル)に立ち向かって1—0で勝ったんです。その時のことを思うと、今も気分がよくなります。どうやってでも金ウォンヒョンをサンバンウルの大黒柱に育てたかったのですから。期待通り、金ウォンヒョンはそれから、良い活躍を見せてくれています」。

9連続敗北の投手を信用してまた先発で起用する監督。彼は人を育てる達人だ。褒め言葉は鯨も躍らせるが、信頼は死者も立たせて躍らせる。



mars@donga.com