ポルトガルやスペイン、フランス、英国など、多くの植民地をもっていた国は、いずれも二重国籍を許可していた。植民地が独立した後も、その地域に居住する自国民を保護するためである。また、台湾は華僑を保護するために、メキシコは米国に居住する自国民の実益のために、二重国籍を許可している。イスラエルもまた、全世界に広がるユダヤ人の経済力を活用するために二重国籍を容認している。このように2重国籍を許可する国は、47カ国にもおよぶ。
◆韓国では二重国籍を禁じている。しかし、属地主義が認められる外国に留学したり、商社の駐在で外国で子どもを産む場合が多いため、二重国籍の取得を問題視することは難しい。問題となるのは二重国籍が与えるさまざまな恩恵を受けながら、決定的な時に義務を避けようとする恥知らずな行為である。代表的なのが兵役だ。18歳になる前に米国国籍を取得した男性の場合、米国国籍と韓国国籍を同時に持ち、18歳になる年の1月1日以前に韓国国籍を放棄すれば自動的に入隊の義務も消える。
◆二重国籍者たちは、定期的に在韓米大使館から戦争時に避難要領の入った郵便物を受けとるという。戦争状況でも優先的に身の安全を保障されるという話だ。それだけでなく、米国の大学に進学する場合に入学はもとより学資金の融資、登録料、奨学金など、すべての面で米国人と同等の待遇を受ける。一方で、在外国民特別試験で、より簡単に韓国の大学に進学することもできる。このために、数千万ウォンを要する「遠征出産」をしてでも子どもに二重国籍を取得させようとする親が出てくるのではなかろうか。
◆改閣の度に、「二重国籍」問題はおなじみのメニューとなった。金泳三(キム・ヨンサム)政権の時は、法務部長官に任命された朴熺太(パク・ヒテ)現ハンナラ党総裁権限代行が、娘の二重国籍問題で、1週間で長官の座から退いた。金大中(キム・デジュン)政権でも、宋梓(ソン・ジャ)教育副首相や張裳(チャン・サン)首相候補者らが、二重国籍問題でその地位を後にしたり、聴聞会での承認を受けられなかった。
今回は新政府の初の組閣で、陳大濟(ジン・デジェ)情報通信部長官が問題となった。息子の韓国国籍放棄による兵役逃れ疑惑や、十数年の間、家族が韓国に居住していながら書類上は外国に滞在しているようになっていたという信じられない事実のためである。しかし、大統領と大統領府は熟考(?)の末、陣長官をかばった。「二重国籍」よりもっと怖いのが「二重尺度」であることを実感させられる。
鄭鎮弘(チョン・ジンホン)客員論説委員(韓国芸術総合学校教授) atombit@netian.com






