盧武鉉(ノ・ムヒョン)次期大統領が、地方を巡回する国政討論会を開始した。きのう、大邱(テグ)でのスタートを皮切りに来月12日まで続くこの討論会は、新政権発足に先立って、全国隅々の民心と地域懸案を(大統領が)直接把握し、政策に反映できる点で評価できる。きのう行われた初の討論会でも、この地域の関係者100人が参加し、次期大統領に多くのことを指摘して注文を付けた。
もちろん、国政運営の過程で地域住民の全ての提案と主張が受け入れられるわけではないだろう。ただし、大統領が国民と直接顔を合わせて意見を聞く機会は、多ければ多いほど良い。インターネットを通じた意見提示もできるが、対面方式がさらに率直な話に接することができるという点から、就任後も継続されることを望む。
実際、今の盧武鉉次期大統領に対しては、国民の期待と懸念が交差しているのが事実だ。とくに、政権引き継ぎ委員会が、反対や批判の意見を受け入れようとする姿勢を示していないという指摘が、国民の間で広がっている。こうした状況で、国民の生の声を聞くのは新政権の軟着陸のためにも重要である。
しかし、すでに前もって練られたシナリオに従って討論を進めるのは、対話の意味と効果を半減させる。かつて、歴代の大統領が国民の意見を汲み入れるとして数回にわたって国民討論会を行ったものの、発言する人とテーマが決められていたため、国民の生の声は聞けなかった。政府政策について、賛辞だけ言い並べるなど、生活現場の雰囲気とはかけ離れた声が多く聞かれた。民意の歪曲だったわけだ。
盧次期大統領は、形式にこだわるのを嫌うスタイルを生かし、こうしたことが繰り返されないように取り組まなければならない。できるだけ、多くの住民の参加を呼びかけるとともに、何の制約なしに発言できるような雰囲気を作らねばならない。また、話すことより聞く方に重きを置くのが望ましい。そうした気楽さのなかで、生の民意が感じ取られるのである。






