与党内部で作成されたものと見られる憲法改正をめぐる文件が発見され、波紋を広げている。与党は文件の形式と内容から見て、個人の習作または与党をけなすためのものだと主張しているが、素直に受け入れることはできないのが事実だ。
今回の文件は朝鮮民主主義人民共和国(北朝鮮)の金正日(キム・ジョンイル)総書記がソウルを訪問する際、平和協定の締結など具体的な成果に応じて憲法改定を行い、民主党と自民連、民国党が統合するという政界改編案を盛り込んでいる。改憲と3党統合こそが、政権維持のための最も効率的な手段だという点を強調している。
つい一ヵ月前までは、民主党議員70余名が参加した新時代戦略研究所から、公然と「統一憲法公論化」の主張が提起された。金大中(キム・デジュン)大統領も昨年10月 「南北問題をめぐり、国民的投票を経なければならない状況が出てくるかもしれない」と述べたことがある。このため、野党は与党が金委員長のソウル訪問を契機に、統一憲法の制定に向けた改憲を行い、その改憲を通じて長期にわたる政権の維持を図ろうとしていると主張する。
野党の主張が事実であろうとなかろうと、金総書記のソウル訪問をいわゆる政権維持の手段に利用するとの発想は実に浅はかな短見だ。さらに、彼の答礼訪問を政治的な目的に利用しようとするならば、これまで政府が追求してきた対北朝鮮政策の大義名分と原則も色あせてしまう。
政権再創出に向けた改憲の動機を、金総書記のソウル訪問に求めるという発想も危険極まりない。改憲は、その必要性が切実に求められ、多くの国民が願う中で、それも非常に慎重に行わなければならない。過去の軍事政権時代の改憲が、韓国の憲政史にどれほどの汚点を残したのかはあえて説明する必要もないだろう。韓国もいつかは統一憲法を制定しなければならないが、いまは 明らかにその時ではない。
何よりも憂慮されることは、金総書記の韓国訪問を政略的に利用しようとする場合に生じる副作用だ。韓国の政治的状況を見透かしている北側は、金総書記の韓国訪問を最大限活用し、それによる利益を得ようとする一方、金総書記の韓国訪問を求めている韓国は相対的に不合理な手段を講じる可能性が大きくなる。このため、現在のマスコミ社に対する税務調査も、金委員長の韓国訪問に先立ち、批判的な言論を押さえるための地ならしのひとつだという主張が出ている。
与党内部にこのような改憲発想を持っている人がいれば、一日も早く捨てなければばならない。この時点で統一憲法の改憲が行われると信じるならば、錯覚も並大抵ではない。






