Go to contents

女権の現住所(3)=ソウル女性緊急電話の30%が家庭暴力を訴え

女権の現住所(3)=ソウル女性緊急電話の30%が家庭暴力を訴え

Posted July. 03, 2001 19:52,   

女性は、男性に比べ暴力による被害者になる可能性が高い。女性の権利がかなり拡大してきたとはいうものの、依然として性的暴力と家庭内暴力による女性の被害者は増える傾向にある。

▲女性に対する暴力を禁止する法律〓米軍司令部の統治下にあった1946年、「婦女子の売買及びその売買契約の禁止に関する法令」が制定されて以来、女性に対する暴力を禁じる法律も改善されてきた。代表的なものが性暴力特別法と家庭暴力処罰特例法である。

「性暴力特別法」は、性的暴力を禁止しているのは勿論のこと、捜査と裁判の過程での被害者の保護と、これのための施設の設置などを規定している。

「家庭暴力処罰特例法」は、家庭内暴力を引き起こした人に対する教育と家庭復帰のための保護処分を明示しており、「家庭暴力被害者保護法」は、捜査と裁判過程での被害者の保護と、このための施設の設置などを義務づけている。

▲「どうして逃げなかったのですか」〓全国に散在している性的暴力関連の相談機関は、全部で72ヵ所。これらの相談機関を訪れる人は日増しに増えている。

韓国性暴力相談所の河銀珠(ハ・ウンジュ)相談官は、「性的暴力被害者が最初にぶつかる問題は、理解を示さない警察と性的暴力を受けた被害者を避ける医療機関」という。

調査過程で記憶したくない状況を何回も繰り返さなければならない上に、警察は和姦の是非をしきりに問い、合意を促すという。

河相談官は、「数日前に相談した20代の性的暴力被害女性の場合、肋骨が折れて全治3週間の診断を受けて警察へ行ったが、担当の警察官は合意を促し『なぜ逃げなかったのか』としきりに聞いて、傷ついた」と言った。また、医療機関の場合、露骨に「警察病院に行ってほしい」と言い、診察を忌避したり、診断書の作成を避けるケースも少なくない。

女性開発院のキム・エリム首席研究員は、「性的暴力被害者に対しては捜査と裁判過程で捜査官、裁判官による『2次人権侵害』が起きやすく、被害者保護施設・医療機関などもまだ微々たるものである」と指摘した。

現在、全国8ヵ所に性的暴力被害者保護施設があるが、施設当たりの定員が10名で、6ヵ月(3ヵ月延長可能)のみ施設で過ごせるよう制限され、運営規定に問題があるという指摘がある。

韓国性暴力相談所の呉喜玉(オ・ヒオク)部長は、「親族関係での性的暴力などで避難所として保護施設に入る青少年が多いが、これは居住期間が終わればまた加害者のいる家に戻らなければならない状況だ」と言い、「保護施設を増やし期間制限なども現実に合わせて調整すべきだ」と述べた。

▲「自分の妻を殴るのに文句があるか」〓昨年仁川(インチョン)では、夫が妻をタバコの火で痛めつけ「電気拷問」まで行った家庭内暴力事件が発生した。夫は、精神鑑定を受けた末に懲役7年を言い渡されて服役中だ。

この事件で一番の問題として指摘されたのは、夫が妻を縛りつけて何時間も「拷問」している間、近所の人々は悲鳴を聞いていながらも無視したという点だ。

「仁川女性の電話」の鞖淑日(ベ・スクイル)副会長は「『他人の家の夫婦喧嘩に口出するものではない』という社会通念があるが、これは家庭内暴力を扇ぐ間違った考え方」だと言い、「家庭内暴力は社会犯罪と判断すべきだ」と強調した。

一方、ソウル市が「ソウル女性の電話」に委託運営中の緊急電話「女性1366」の今年1〜5月の相談案内実績によると、計6871件の内30.4%(2088件)が家庭内暴力関連の相談だった。

「韓国女性の電話」の李洙情(イ・スジョン)人権センター担当は、「常習的に殴られている妻の場合、最初にぶつかる問題は『夫婦で解決すべきこと』という一般の認識だ」とし、「このため家庭内暴力に対しては、法よりも認識の転換と予防レベルの教育が重要だ」と述べた。

女性団体が97年以降、毎年5月に警察庁などと連携し「家庭内暴力のない平和な月」というキャンペーンを繰広げているのもこのためだ。引いては、女性団体の一角では、「家庭暴力処罰特例法」を修正し、家庭内暴力事件を認知した洞事務所(町役場)、社会福祉士や救急隊員、警察らが、これを通報しない場合、職務遺棄と規定するなどの内容を盛り込んだ法改定を推進している。

▲現実と関連のない「淪落(売春)行為など防止法」〓キム・エリム研究委員は「淪落(売春)行為など防止法は、堕胎問題と共に『法と現実がかけ離れて別々に存在している代表的な例』」だと言った。

法律では、売春行為自体を禁じている。しかし、売春行為は消えず、むしろその対象年齢は低くなっている。この法は、また、売春女性の社会復帰を支援する施設の設置などを約束しているが、やはり現実とはかけ離れている。

韓国女性開発院の卞化順(ビョン・ファスン)研究部長は、「身体を売る女性に対する処罰よりは、福祉と意識転換を通じた売春の根絶に方向を定めて関連法を改定すべきという意見が多い」と語った。



徐永娥 sya@donga.com