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「孤立からの脱皮」に向けイメージ改善努力 パキスタン

「孤立からの脱皮」に向けイメージ改善努力 パキスタン

Posted June. 03, 2001 12:49,   

日中の気温が40度まで上がる真夏を迎えたパキスタン。砂埃の中でリキシャ(三輪タクシー)やミニバス、トラックの間を巧みに避けて走っていた車が信号の前で立ち止まると、数人の少年が売り物の新聞や花を窓ガラスの前に差し出す。その後ろを、普通のアジア人と違ってすらっとした身長に手入れの行き届いた揉み上げをもつパキスタン人たちが、包みを担いで忙しい足取りで先を急いでいる。

午前4時半、祈りの時間を知らせる「アーザン」がスピーカーから流れると、パキスタンの人々は眠りから覚めイスラムの律法に従って日課を始める。都市の中にあるモスクは、前庭まで入れると数万人が同時に祈れるくらい巨大なものだ。

5月23日、世界の耳目が西南アジアに注がれた。インドがパキスタンに対し、50年越しのカシミール紛争の解決に向けた対話を提案したもの。首脳会談は6、7月中に開かれる予定だが、パキスタンは大して期待はしていない様子だ。

外務省のアシフ・エズディ次官補は「我々はこれまで数年間、再三に渡って対話の再開を提案しており、ようやくインドが応じてきた」と述べ、「武力と騙しでカシミールの一部を支配して来たインドの政策が失敗したことの証」であると責めた。日刊英字新聞ドーン「Dawn」の、M・ジア・ウディン支局長も、「パキスタンに対して孤立政策を取ってきたインドが、対話なしには進まないことに気付いたもの」だとし、「今すぐの変化はないにしても、対話の再開は肯定的」という見方を示した。

英連邦のインドは、1947年インドとパキスタンに分かれて独立した。イスラム教とヒンズー教の分離であった。それ以来両国は、カシミール・バングラデシュ問題などをめぐって3回にわたり戦争を繰広げた。さらに葛藤は、核兵器の確保争いへと広がった。98年5月15日、インドが先に核実験に踏み切り、これに後れを取るまいと同月28日にはパキスタンが核実験を実施し、世界中を驚かせた。

当時パキスタンの国民は、敵国のインドを牽制できる核の保有国となったことで大いに熱狂したが、3年経った今は勝手が違う。ペシャワルの核実験記念塔を指して、「最近の評価は」と問い掛けると、記者を案内していたペシャワルの公務員は「人によって考え方が異なっている」と答えた。肯定的な評価は、インドの挑発を防ぐ効果があったということだが、否定的な影響としては、米国などによる制裁で経済が悪くなり国際社会の評価が悪くなったことだという。

パキスタンの知識人たちは、自分たちに対する西側の評価に機嫌を悪くしている。43年間哲学、比較宗教学の教授を勤めたシンド州のモハメド・アリ・ラジ宗教相は、「極端主義、原理主義、テロリストなどの単語で我々を描写するのは米国など西側のマスコミによるプロパガンダ劇だ」としながら、「イスラム教徒はアリ、ヘビのような動物はおろか植物にさえ傷を与えまいとする人々」だと述べた。

米国の経済制裁などで被害を被ったためか、経済人たちはさらに敏感に反応した。

ある経済人団体の幹部は、「西側のマスコミとインドのテレビが我々を悪く描いているため、世界中から後ろ指を差されている」と語り、「米国は兵士ひとり送らずして、CNNを通じてパキスタンを攻撃している」と非難した。

パキスタンは、軍事政権が掌握している。99年10月、クーデターで権力を握ったぺルべズ・ムシャラフ将軍は、「最高行政官(CE・Chief Executive)」と呼ばれている。公職者の間では「CEの指示さえあれば何でもうまくいく」という冗談が出まわっている。ドーン紙のジア・ウディン支局長は、「制度としての腐敗防止の取り組みは、ある程度成果を見せている」と評価した。ムシャラフ将軍が打ち出したもう一つの目標は経済改革。60%を超える地下経済を縮小し、無資料取引きをなくすといった税制改革は、未だ目にみえる成果が出せていないと地元の外交官たちは診断している。

ムシャラフ将軍は就任直後、中国と近隣のイスラム諸国を訪れ、CNN・BBCなど西側の有数のマスコミとのインタビューし、カシミール、アフガニスタン、核、テロなど懸案に対する広報などで忙しい日々を送った。こうしたイメージ改善の努力にもかかわらず、未だに外交的な孤立状態に置かれている。米国は今月中に予定されているパキスタン外相の訪米の際に、経済制裁を解くものと伝えられる。

パキスタンの最高裁は、クーデターが合法的であったと判決しながらも、クーデター発生3周年を迎える前に連邦議会と地方議会を構成することにした。軍部は、民政移譲の際、首相職は民間に引き渡す代り、現在名ばかりとなっている大統領の権限を強化した後に、大統領の席に就くだろうとの見方が多い。改革の進捗状況によって、今秋頃選挙を実施する可能性もあると外交街では見ている。



洪權憙 konihong@donga.com