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[社説]「先進国」とは程遠い老人貧困の現実

[社説]「先進国」とは程遠い老人貧困の現実

Posted September. 02, 2009 07:39,   

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韓国は、経済協力開発機関(OECD)の加盟30カ国の中で、65歳以上の老人の所得貧困率が45.1%で最も高い。老人100人の中で45人が中位所得(全体世帯を所得の順で並べた時に、真ん中に当る所得)の半分にも及ばない所得で暮らしている、事実上の絶対貧困層だという意味だ。先進国へ仲間入りを控えているとはとても言い難い現実だ。世界で最も高い老人自殺率も老人貧困と無関係ではない。

韓国の老人人口は、昨年、500万人を越え、全体人口で占める割合が10.3%へと上昇した。そのような中で、子どもが親の面倒を見るのが当たり前という伝統的な価値観は急速に崩壊しているため、老人のための社会安全網の構築が切実である。老人問題を国の主要政策として扱わなければならない。

OECD年金便覧によると、韓国の高齢層が退職した後、年金を含めてどのような形であれ、手取りは、働いている時の所得の平均42.1%でOECD平均(59.0%)より大きく低い。老人の働き口の不足と年金体系の不備が要因として挙げられる。貧困老人層は国民年金からも除外されている。

老人の貧困は、そのもので終わるわけではなく、個人には疾病と孤独が付きまとい、国の負担もかさ張る。貧しい老人は病院と薬局の世話になることが多いため、健康保険の財政が悪化する。面倒を見てくれる家族が居なければ、国の扶養サービスの負担が拡大する。国家競争力を強化するためにも老人貧困層の縮小に乗り出さなければならない所以だ。

この頃の老人は健康と教育の程度が昔の老人とは違う。普通教育以上を受けた場合が多く、健康が許す限り働きたがる。働く老人は比較的に健康であるため、健康保険の財政にも役立つ。老人自らが生計を立てられるようにするのが最高の社会安全網である。

政府は老人雇用市場が広くなるように、賃金ピーク制の導入、老人雇用ネットワークの拡大など、制度的・社会的な環境を改善しなければならない。無条件的な福祉よりは高齢者の再教育、高齢者に合った雇用の創出へと政策を転換する必要がある。老人人口を扶養するためには、若い労働人口が増えなければならない。急激な老齢化社会は経済の活力を落とさざるをえないので、世界最低水準の出産率を高めるのは老人対策の一環でもある。

しかし、国が個人の老後を保障することには限界がある。老後の人生への十分な備えが肝心である。