2日、産業資源部長官に内定した丁世均(チョン・セギュン)元ヨルリン・ウリ党議長は、改閣事実を事前に知っていながらも前もって党に知らせず、「自分の利益だけに汲々としていた」と言う非難を浴びた。丁氏は改閣当日に入閣を知らされたと言ったが、前日に知らされたことを後で白状した。改閣波紋で党が大きく揺れている時期に、産業資源部の幹部たちと早くも顔合わせまで終えていた事実もばれた。丁氏は昨年、「一番紳士的な国会議員」に与えられる第7回白峰(ペクボン)紳士賞を受賞した。
◆紳士(ジェントルマン・gentleman)は英国のバラ戦争(1455〜1485)で貴族の数が減った後、議会の空席を満たしたジェントリー(gentry)という身分集団から始まった。当時のジェントリーは中小地主が中軸だったが、近代以後ジェントルマンには成功した商工業者、聖職者、管理者などが含まれた。女性と弱者に対する思いやり、丁寧なマナー、厳格な節制、共同体に対する献身などに象徴される今日の「英国紳士」は、望ましい男性像に通じている。つまり、女性の理想象でもある。
◆トニー・ブレア英首相が10日、紳士の国のプライドを取り戻すため「社会的な尊敬回復」キャンペーンを宣言した。「フーリガンの国」と呼ばれるほど共同体精神と社会的綱紀が崩れているため、まずお互いに尊敬する心から持とうというのだ。ロンドンでは金曜日の夕方には酔っ払いによる放歌高吟、公共器物の破壊、青少年らの派閥争いなどがよく見られる。彼らはまず、「怒り管理」や「消費抑制」のようなリハビリ訓練から受けなければならない。
◆韓国も紳士道の不在が深刻だ。国はどうであれ、排他的な派閥と泥沼争いで夜を明かす政界や、対話の代わりに闘争を問題解決の最高手段と考える利益集団の姿からは、相手に気配りする紳士道を捜すことができない。「法の中で最上位の法は無理押し法」という言葉まで出るほどだ。個人もジェントルマンらしさを守ろうとすれば、ことあるごとに損をする。韓国は「ジェントルマンの国」になるにはまだほど遠い「闘士の国」のように見える。
韓起興(ハン・ギフン)論説委員 eligius@donga.com