
「ジムの契約は、もう更新しないことにしました」
ソウル市江南区(カンナムク)在住の会社員、イさんは今年、ジムの年会員更新を見送った。代わりに選んだのは、GLP―1系の肥満治療薬「マンジャロ」だ。先週、病院で33万ウォンを支払い、1カ月分の処方を受けたという。イさんは「ジムの年間利用料にパーソナルトレーニング費用を合わせると、月に数十万ウォンかかる。マンジャロと食事管理の方が効率的なダイエットだと考えた」と話す。
ジムに足を運ぶ人が減る中、全国でジムの廃業が急増している。ランニングブームに加え、ウゴービやマンジャロといった肥満治療薬の普及が重なり、かつてダイエットの象徴とされた「ボディービル・バルクアップ」中心の運動人気が下火になっていることが影響したとの見方だ。
●今年1月だけで70カ所閉鎖
1日、行政安全部の地方行政許認可データを分析した結果、廃業したジムは、2022年の323カ所から年々増え、2024年には570カ所と最多を記録した。昨年も562カ所が閉鎖された。今年に入ってからは、1月だけで70カ所のジムが店を畳んだ。通常、年初は新年の目標とともに入会需要が集中する時期だが、それでも多くの事業者が1月から撤退した。
ジムの廃業増加に伴い、消費者トラブルも増えている。長期会員権を支払った後に突然閉店し、返金を受けられなかったり、閉店を十分に告知しないまま営業を中断したりするケースが相次いでいるためだ。
韓国消費者院によると、2022年から2025年上半期までのスポーツ施設業関連の被害救済申請は計1万4857件で、毎年増加している。昨年上半期だけでも2292件が受理され、前年同期比で約5.7%増えた。
●肥満治療薬・ランニングに押される人気
ジム閉鎖が相次ぐ背景には、運動やダイエットに対する捉え方の変化がある。業界内外では、体重減少を目的に運動を代替し得る薬剤が大衆化している点に注目する。
2024年10月のウゴービ、2025年8月のマンジャロ発売以降、ソーシャルメディア(SNS)には治療薬による減量体験談があふれた。いずれも注射型の肥満治療薬で、脳に満腹感を与えて摂取量を抑える仕組みだ。医療界は副作用の懸念から慎重な処方を呼びかけているが、年初からは品薄になるほど需要が急増している。
運動観の変化もジム危機と重なる。かつては苦痛に耐える行為と見なされた運動が、近年は楽しめる趣味として受け止められるようになった。屋外で交流しながら楽しむランニングが根強い人気を保つほか、クロスフィットや室内クライミングなどの選択肢が広がり、ジムを選ぶ理由が薄れているとの分析だ。
仁荷(インハ)大学教授のイ・ウンヒ氏は「運動の認識は変わっているが、ジムは楽しさを提供する空間へと進化できていない」と指摘。「過度にパーソナルトレーニング中心の営業が、消費者の疲労感を高めたことも人気低下に影響した」と話した。
ナム・ヘジョン記者 namduck2@donga.com






