ソウルで昨年12月に取引されたマンションの平均価格が15億ウォンを超えた。全国の住宅価格の下位20%に当たる住宅16戸を買える資金があって、ようやくソウルの1戸が手に入る計算だ。1世帯がソウルで住宅を買うには、稼いだ金をすべて貯めても13.9年かかるとの分析もある。資産が乏しい若者や庶民は、家を買うために借金をし、その返済で消費の余裕がないのが現実だ。だからこそ「ソウルでは家さえ買わなければ『現金持ち』だ」という言葉まで出るのだろう。「K字型二極化」を克服するには、亡国的な投機心理を沈静化し、不動産市場を安定させなければならない。
最近のソウル不動産市場では、需要を抑え供給を増やして市場を安定させようとする政府と、少しでも高く売ろうとする家主との駆け引きが続いている。取引は途絶えたが、短期急騰した売り希望価格は目立って下がっていない。むしろ、いったん鈍っていたソウルのマンション価格の上昇幅は3週連続で拡大した。昨年の「10・15対策」発表直前の上昇局面に戻った格好だ。李在明(イ・ジェミョン)大統領が連日、ソーシャルメディア(SNS)で不動産発言を重ねているのも、不安定な市場状況と無関係ではあるまい。
李氏は先月31日、「(住宅価格の安定は)国民を信じ、政治的な有利不利から離れれば、決して不可能なことではない」とし、「渓谷整備や株価5000達成に比べれば、より難しいことでもない」と述べた。複数住宅所有者に対しては「機会があるうちに逃さず、減税の恩恵を受けながら複数住宅を解消してほしい」と警告した。大統領は京畿道(キョンギド)知事時代、整備事業を押し進め、河川や渓谷を不法占拠した迷惑営業をなくした。大統領選で掲げた「コスピ5000」公約も実現した。いずれも事前に関連法・制度を整え、原則を貫く行政で変化を導いた結果だ。
長い時間、難題の糸が絡み合うように積み重なってきた不動産市場も、「投機抑制と実需者保護」という原則を守り、市場の信頼を得てこそ安定させられる。住宅市場は株式市場より規模が大きく、渓谷整備事業より利害関係者もはるかに多い。関連法・制度も複雑だ。軍事作戦のように押し切れば、売り物件の引き締まりや賃貸市場の不安、売買価格の上昇を招いた過去政権の失敗を繰り返しかねない。
当面は投機需要が入り込まないよう市場を管理しつつ、ソウルと首都圏に2030年まで住宅6万戸を供給するという「1・29対策」を迅速に実行することが急務だ。「ヤンポセ(譲渡税をあきらめた税理士)」という言葉が出るほど複雑な不動産税制も、原則を示し、納税者が理解しやすい形に正常化しなければならない。そうしてこそ市場に「無理をして家を買う必要はない」という信頼が生まれる。その信頼が強まるほど、住宅価格は安定していくだろう。
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