
ベッセント米財務長官は28日、「韓国国会がまだ貿易合意を通過させていない」とし、「彼らが承認するまでは、韓国との貿易合意はない」と述べた。対米投資特別法が国会を通過するまで、韓国に対する25%の相互関税再適用方針に変更はないとの考えを示し、韓国に対する強硬姿勢を維持した。
金正官(キム・ジョングァン)産業通商資源部長官は29日、ラトニック米商務長官と会談するなど、韓米間の本格的な追加関税交渉が進められる予定だ。李在明(イ・ジェミョン)大統領が交渉団に「冷静かつ淡々と対処せよ」と指示したと伝えられる中、政府内では、事態が長期化する場合、原子力潜水艦の導入や韓米原子力協定の改定を含む非関税分野にも悪影響が及ぶとの懸念が出ている。
●ベッセント氏「関税引き上げは状況進展に資する」
ベッセント氏は同日、CNBCのインタビューで「状況を前進させるのに役立つと考えている」と語った。前日、米通商代表部(USTR)のグリア氏が「韓国は自ら履行するとした部分について、何の進展も見せていない」と発言したのに続き、関税交渉のキーマンたちが相次いで韓国に対する強硬な立場を示した形だ。韓米関税合意の中心人物とされてきたラトニック氏は同日、米ワシントンで開かれた「李健熙(イ・ゴンヒ)コレクション」のガラショーに出席したが、関税など懸案について公の場での発言はなかった。
カナダ出張を終えて訪米した金氏は、29日午後、米国側のカウンターパートのラトニック氏と会談する予定だ。金氏は「国内の立法進捗について誤解が生じないよう、きちんと説明する」とし、「米国との協力や投資をめぐる韓国政府の立場に変化はないため、その点を十分に説明したい」と強調した。
呂翰九(ヨ・ハング)産業部通商交渉本部長も29日夕方、ワシントンへ出発した。呂氏はグリア氏と会談し、デジタル・プラットフォームや農産物規制など、韓国の非関税障壁をめぐる協議を進める予定だ。米国は、農産物分野の非関税障壁の撤廃や米デジタル企業に対する公正な扱いを韓国政府に求めるとみられる。
●「原潜、原子力協定に悪影響の懸念」
韓国政府は、米国の強硬な姿勢にもかかわらず、冷静に対応するとの方針を崩していない。趙顕(チョ・ヒョン)外交部長官は29日、ソウル中区の韓国プレスセンターで開かれた寛勲(クァンフン)討論会で、「合意破棄と見るのは難しい」とし、「今後、われわれが米国側に丁寧に説明していけばよい」と述べた。政府関係者は「米国側が、日本と比べて韓国の投資進捗が遅すぎると指摘する可能性があるため、対応戦略を準備している」と明らかにした。
ただし、米国が強硬姿勢を崩していないことから、事態が長期化した場合の波及効果を懸念する声もある。韓国の原潜導入や、原子力の濃縮・再処理権限拡大など、安全保障懸案を含む韓米共同ファクトシート合意全般に影響しかねないという。政府関係者は「安全保障交渉と関税交渉は並行して進む局面にあり、一方が座礁すれば、もう一方にも悪影響を及ぼし得る」としたうえで、「交渉が好循環となるよう状況をつくっていく必要がある」と指摘した。別の政府中枢の関係者も「米国側が関税引き上げに言及している以上、この問題が安全保障交渉に与える影響も無視できない」と語った。
政府内では、対米関税交渉のプロセス管理に問題があったとの指摘も出ている。トランプ政権が韓国との関税合意を最大の成果として掲げてきた以上、政府としても司令塔を置き、韓米関係全体への影響を考慮すべきだったが、関税交渉妥結後は各省庁に委ね、十分な対応ができなかったという見方だ。政府関係者は「米国側ではあちこちで不満が積み重なっている。1、2点ではなく、複数の要因が絡み合っている状況だ」とし、「関税合意の履行過程で管理体制が崩れた以上、今後は丁寧に検証する必要がある」と述べた。
ユン・ダビン記者 ワシントン=シン・ジンウ特派員 empty@donga.com






