
中国で人民解放軍序列2位に当たる張又俠・中央軍事委員会副主席と、同委員会委員で統合参謀部参謀長の劉振立氏が24日、電撃的に粛清された。2012年末に習近平国家主席が実権を握って以降、党・軍の幹部を対象に大規模な粛清が続いてきたが、軍序列2位の副主席が失脚するのは初めて。米紙ウォールストリート・ジャーナルは張氏について、「習氏が排除した現役軍幹部の中で最も序列が高い人物であり、1989年の天安門民主化運動以降、中国軍指導部で粛清された最高位の人物だ」と報じた。
これにより、2022年10月に発足した「習近平3期」の中央軍事委員(7人)では、習氏と昨年10月に副主席へ昇格した張升民氏を除く5人が失脚した。中央軍事委は約200万人規模の人民解放軍を統括する最高意思決定機関だ。英紙フィナンシャル・タイムズは「習氏が事実上、単独で人民解放軍全体に対する作戦統制権を握ることになった」と診断した。
●中国機関紙、粛清の正当性を強調
中国国防省は24日、「張又俠氏と劉振立氏が重大な規律違反と違法行為の疑いを受けている。党中央の決定により2人を立件して調査することにした」と発表した。20日に開かれた党・政府・軍の高位幹部が出席する会合を張氏が欠席したことから身辺の異変が取り沙汰されたが、その4日後に立件が発表された。
張氏は、党中央委員会総書記を兼ねる習氏を除けば、中国の職業軍人の中で最高序列だ。陝西省渭南出身の張氏は、習氏の陝西省人脈を指す「陝西幇」の代表的人物ともみなされてきた。習氏は北京生まれだが、陝西省で権力基盤を固めたのち、最高指導者の地位に上りつめた。こうした人物を排除するほど、習氏が軍部掌握に力を入れ、事実上の終身体制を固めつつあるとの見方が出ている。
中国当局は、失脚の理由を単なる汚職ではなく政治犯罪として位置づける姿勢を示している。中国軍機関紙「人民解放軍報」は25日の社説で、2人の立件を伝え、「中央軍事委の主席責任制度を深刻に損ない、党の統治基盤を脅かす政治・腐敗問題を助長した」と主張した。
中央軍事委主席である習氏の権威に挑戦したという意味とみられる。さらに「2人を調査し処罰することは、政治状況を正し、思想的な毒素や不正行為を根絶することだ」とも主張した。
●中央軍事委7人のうち5人が失脚
中国軍幹部の相次ぐ粛清も注目を集めている。張氏を含め、2022年10月の中国共産党第200回党大会で任命された7人の中央軍事委員のうち、李尚福国防部長(長官)が2023年10月に最初に解任された。
昨年は、習氏の側近とされた何衛東副主席と苗華政治工作部主任が、腐敗容疑で調査を受けて退任した。その結果、習氏と張升民氏の2人だけが残るという、いびつな構造が生まれた。
中国共産党の最高意思決定機関である中央政治局常務委員会を側近で固め、事実上の1人指導体制を築いた習氏が、人民解放軍も名実ともに直轄体制を確立したとの分析が出ている。米中央情報局(CIA)出身のクリストファー・ジョンソン中国戦略グループ代表は、米紙ニューヨーク・タイムズに「中国軍の最高司令部が完全に壊滅した。歴史上前例のないことだ」と述べた。
フィナンシャル・タイムズも、昨年から習氏の軍部粛清が忠誠心と政治的信頼性を確保する手段として利用されてきたとし、「今後、影響力のある軍将校が引き続き標的となる可能性が高まった」と伝えた。ただし、度重なる軍部の交代が軍の指揮体系に混乱をもたらし、作戦遂行能力を弱め、残された軍指揮官たちに盲目的な忠誠だけを強いる結果になりかねないとの懸念も提起されている。
金喆仲 tnf@donga.com






