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グリーンランド先住民に広がる不信 「トランプは信用できない」

グリーンランド先住民に広がる不信 「トランプは信用できない」

Posted January. 23, 2026 10:35,   

Updated January. 23, 2026 10:35


「ノーベル賞をくれないからといって、グリーンランドを手に入れるというトランプの言葉を、どうやって信じられるのか。彼が退任する以外に答えはない」

21日(現地時間)、デンマーク領グリーンランド最大の都市ヌークの食料品店で話を聞いた、イヌイット先住民のアモソンさんはこう語った。グリーンランド併合への強い意欲を示してきたトランプ米大統領について、「いつも衝動的で、混乱している」と強い言葉で批判した。

トランプ大統領は同日、グリーンランド併合に反対して派兵を決めた欧州8カ国に対する関税賦課計画を撤回し、併合のために武力を行使しないとも表明した。しかし、住民の間では「トランプは信用できない」「トランプとの交渉がうまくいくとは思えない」との空気が支配的だ。

別の住民も、トランプ氏が併合の意思を完全に放棄するか、少なくとも退任するまでは警戒を緩めることはできないと口をそろえる。漁師のパビブさんは「トランプの気まぐれがあまりに激しく、明日突然グリーンランドに爆弾が落ちてもおかしくない」とし、「ベネズエラのマドゥロ大統領も、同じように翻弄されたのではないか」と問いかけた。

突発的な武力衝突が起きかねないとの懸念も消えていない。グリーンランド自治政府は最近、住民に対し「有事に備えて5日分の食料を準備するように」と勧告した。これを受け、ヌークの主要店では水や牛乳、シリアルなどの生活必需品を買いだめする動きが広がった。停電に備えた毛布なども人気だ。

一部の店舗では卵が品切れとなった。アモソンさんも「戦争で電気が止まれば冷蔵庫が使えないと思い、冷凍した魚や肉を買った」と話した。地元ラジオでは「非常用品を準備せよ」との案内放送が繰り返された。

戦争に備え、非常用の避難リュックを用意した市民もいる。ヌーク近郊に住むマリナさんは、「寝袋、救急薬、毛布、プロテインバーなどを詰めた」と語った。「最初はトランプの発言を冗談だと思っていたが、いつ戦争が起きてもおかしくないと感じ、非常用リュックを準備した。状況が続けば、グリーンランドを離れることも考えている」と語った。

イヌイット先住民の一部は、伝統的な狩猟で得た野生動物の肉を売る海岸沿いの店へと向かった。ここではアザラシやオットセイ、クジラ、カモメなどの肉が並んでいた。これらの野生肉は、買いだめで不足した魚や牛肉、鶏肉の代替となっている。かつて先住民たちは、これらの肉を干したり凍らせたりして保存し、厳冬をしのいできた。

エルマさんは「海はグリーンランド人にとって『天然の冷蔵庫』だ。たとえトランプが攻めて来ても、私たちは生き方を変えるつもりはない」と語った。「アザラシ肉のような伝統食は非常食として役立つだけでなく、私たちのアイデンティティと抵抗の意思を象徴している」と強調した。

デンマーク国営DR放送によると、デンマーク軍は19日からグリーンランドでの戦闘部隊を増強した。実際、ヌーク港周辺で確認されたデンマーク海軍艦艇は、沿岸を常時巡回し、万一の軍事衝突に備えた。パビブさんは「ヌーク港ではデンマーク軍だけでなく、NATO軍を含む欧州各国の兵士の姿も目に付く」と話した。


柳根亨 noel@donga.com