
「力はあふれているのに、その力を収める器がない時代です。メディア環境の変化で投資が保守的になり、もどかしさを感じます」
20日、ソウル市麻浦(マポ)区のCJ ENM本社で取材に応じたナムグン・ソン監督(46)は、構造的危機に直面しているとされる現在の映画界について、こう語った。ナムグン氏は「最近、反応の良かった映画は、概して監督の意図が明確な作品が多い」としたうえで、「観客が何を見たいのかという原点に立ち返る必要があると思う」と話した。
ナムグン氏は、14日に公開された映画「あなたが映画をやめてはいけない30の理由」の制作に参加した。韓国芸術総合学校・映像院30周年とCJ ENMの文化事業進出30周年を記念して作られた本作は、映像院にゆかりのある監督30人が、それぞれ3分の短編を制作し、30の物語として編んだ作品だ。ナムグン氏が手がけた短編「私たちが死ぬ前に」は、映画監督や撮影監督らの対話を通じ、映画産業をめぐる厭世的な視線を率直に描いている。インディーズ映画に続き、動画配信サービスの作品「告白の歴史」を演出する中で感じた思いが反映されたという。
ナムグン氏は、「映画というものは難解なパズルのようで、永遠に解けないのではないかと思う瞬間がある」とし、「それでも周期的に訪れる『振り子運動』だと考え、耐えている」と語った。
同作に収められたイム・ソネ監督(48)の短編「ガムだよ」も、映画現場を自嘲気味のユーモアで描いた作品だ。イム氏は「69歳」「世紀末の恋」「失恋した人たちのための7時の朝食会」などを演出し、釜山(プサン)国際映画祭をはじめ数多くの映画祭に招かれてきた。今回の短編は、脚本を書いていた際に噛んでいたガムから着想を得たという。イム氏は「『物語づくりがガムを噛むように簡単だったらいいのに』と思う一方で、軽く扱われてきた自分の恋愛史とシナリオが重なった」と振り返った。
2人が演出の提案を受けたのは昨年の夏だった。イム氏は前作の最終ミキシング中、ナムグン氏は配信作品の後半作業を終えたばかりの多忙な時期だったが、いずれも快諾し、スタッフを編成して3~4週間で制作に臨んだ。「短編ならではの魅力を生かした物語を語りたかった」(イム)、「短編は故郷のような感覚がある」(ナムグン)という思いが一致したからだ。
同作にはこのほか、映画「世界の主人」のユン・ガウン、「もしも私たち」のキム・ドヨン、「恋愛が抜け落ちたロマンス」のチョン・ガヨン、「サムジングループ英語TOEICクラス」のイ・ジョンピルなど、若手や新鋭の監督が参加し、この時代の映画をめぐる多様な視点が盛り込まれた。
イム氏にも、映画をやめたいと思ったことはあったのだろうか。
「やめたいと思ったというより、『やめるべきなのかな』と考えたことはあります。突然妊娠したときでした。出産後も現場で活発に活動するケースが多くなかったので、『もう排除されるのでは』と自然に思ってしまいました。今でも私に『長く踏ん張ってほしい』と声をかけてくれる女性映画人は少なくありません」
キム・テオン記者 beborn@donga.com






