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[オピニオン]局面転換狙いの特別監察官は必ず失敗する

[オピニオン]局面転換狙いの特別監察官は必ず失敗する

Posted January. 17, 2026 09:44,   

Updated January. 17, 2026 09:44


「大統領との関係、ハングルと漢字の氏名、住民登録番号、配偶者の名前・・・」

朴槿恵(パク・クンヘ)政権3年目の2016年8月、李碩洙(イ・ソクス)特別監察官室が入居していたビルのごみ集積場で見つかった廃棄書類の一部だ。重さ50キロの4つの大きなビニール袋には、幅4ミリの麺状に裁断された資料が詰め込まれていた。記者仲間と共に、細切れになった紙片を一枚ずつつなぎ合わせると、特別監察官の活動の実像が浮かび上がってきた。

廃棄文書で最も多く確認されたのは、朴氏の親族に関する個人情報だった。監察対象は大統領の配偶者と4親等以内の親族だ。年代別に整理された資料では、1950年代生まれだけで50人を超え、母方・父方の親族名が多数記されていた。特別監察官が詐欺容疑で検察に告発した朴氏の妹、朴槿令(パク・クンリョン)氏の名前も含まれていた。住民登録謄本の原本や不動産・会社の登記簿、原本の公印が押された書類まで見つかった。

「首席秘書官」に関する内容もあった。特別監察官の監察対象には、大統領秘書室の首席秘書官以上の公職者が含まれる。「監察着手の経緯」「不正情報」「対象者による請託行為」「選挙資金」などの語句が並び、被調査者の供述を記した文書もあった。

復元した資料から推察するに、特別監察官による情報収集は確かに進んでいた。しかし結果として、特別監察官は崔順実(チェ・スンシル)国政介入事件を防ぐことができなかった。李氏は、禹柄宇(ウ・ビョンウ)民情首席秘書官に関する監察内容を特定メディアに流出させた疑惑で16年9月に辞任し、その3カ月後、朴氏は弾劾された。

当時、大統領府関係者はこれを「局面転換用の特別監察官の失敗」と断じた。朴氏は、大統領選の公約だった特別監察官を、就任から2年以上が過ぎた15年3月になってようやく任命した。14年末の「チョン・ユンフェ文書」波紋で非公式実力者疑惑が浮上し、背中を押される形での人事だった。同関係者は「すでに情報と権力はすべて民情ラインが掌握していた。特別監察官が国政介入を把握していても、外に出せる構造ではなかった」と述べた。権力を監視するために作られた制度が、権力の危機回避カードに転落する瞬間、その力は失われる。

10年前の取材記録を改めて読み返したのは、新年を迎えても大統領府の特別監察官導入に対する姿勢が鈍いからだ。李在明(イ・ジェミョン)大統領は大統領選公約集で「特別監察官を即時任命し、実質的権限を保障する」と約束した。だが7カ月が過ぎた今も、動きは見えない。大統領府関係者は「導入する方針に変わりはない。ただ、早く推薦して何の得があるのか。国会に推薦を求めて急かす必要はない」と語る。側近問題が浮上した際に使う「局面転換カード」として温存しているのではないかとの疑念を拭えない。

最近、与党中枢では、「共に民主党」の金炳基(キム・ビョンギ)前院内代表に関連する公認献金疑惑など、「腐敗リスク」が相次いで浮上している。今、大統領府が示し得る最も強いシグナルは、特別監察官の導入だ。李大統領が「金は魔物だと考え、気を付けよ」と百回警告するよりも、権力の最頂点である大統領府に厳格な監視の物差しを当てるべきだ。そうしてこそ、その警告は与党や各省庁の長官・次官を超え、公職社会の隅々に毛細血管のように行き渡る。