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AI生まれの企業拡大 IBM幹部「韓国は潜在力の大きい市場」

AI生まれの企業拡大 IBM幹部「韓国は潜在力の大きい市場」

Posted December. 10, 2025 10:15,   

Updated December. 10, 2025 10:15


「これからますます『AIネイティブ企業(AI native company)』の数が増えるでしょう。既存の企業が緊張すべき時点です」

先月25日、ソウル永登浦区(ヨンドゥンポグ)の韓国IBMオフィスでインタビューに応じた IBMコンサルティング・アジア太平洋地域(APAC)社長のジュヒ・マクレランド氏(Juhi McClelland)は、オープンAIの人工知能(AI)チャットボット「チャットGPT」の登場以降、急速に変化する企業環境についてこう説明した。AIネイティブ企業とは、デジタル環境で生まれデジタル技術に慣れた「デジタルネイティブ」世代のように、起業する段階からAI技術を基盤に誕生する企業をいう。マクレランド氏は「AIネイティブ企業は全く新しい概念の企業で、短期間で起業し売上を生み出す」とし、「既存の企業は『ハイブリッド』方式で競争力を見つけなければならない」と述べた。

IBMコンサルティングは、企業がAIなどの先端技術を活用して生産性を高めることを支援する。現在、顧客の約90%が大企業だが、規模が小さいAI生まれの企業の割合が徐々に増えている。代表的な顧客企業が、サウジアラビアのリヤド航空だ。マクレランド氏が「誇らしい事例」と挙げたリヤド航空は、創業準備から2年経った昨年10月に初就航に乗り出した。乗務員などの人員運用から航空機配置、顧客サービスまで、全ての過程にAIを導入した。この過程で、IBMコンサルティングは、AI基盤の作業過程(ワークフロー)を構築するなどの役割を担った。

マクレランド氏は、「顧客サービスの側面で、品質が非常に向上し得る。空港周辺の交通状況をAIで分析し、顧客が遅れる可能性を予測してファストトラックをあらかじめ用意するサービスなどを導入できる」と述べ、「IBMコンサルティングはこうした可能性を提示し、技術的ソリューションを提供する」と語った。

こうしたAI生まれの企業が登場し、既存のレガシー企業の動きも速くなっている。IBMコンサルティングによると、AIに投入される世界予算の64%が、企業のAI転換(AX)に集中している。マクレランド氏は、「大企業は規模が大きい分、AIで業務過程を最適化すればより大きなコスト削減ができる」とし、「新規事業を始める際も、以前は多くの費用と意思決定が必要だったが、AI導入によりはるかに容易になった」と述べた。事業拡張の可能性を大きく高められるという意味だ。

IBMは、マクレランド氏の言葉を最も早く証明した企業でもある。マクレランド氏は「今年で114年を迎えたIBMの業務プロセスは、400種類を超える」とし、「このうち70種類を選別し、優先的にAI基盤のワークフローを導入して全面的に見直した」と語った。その結果、この2年間で35億ドル(約5兆1300億ウォン)の費用が削減され、今年は45億ドル(約6兆6000億ウォン)が削減される見通しだ。

マクレランド氏は韓国市場について、「革新とスケールの両方を備えた潜在力の大きい市場だ」と評価した。ただし「AIを導入するということは、(意思決定過程を最適化する点で)民主的だため、序列文化を重視するアジア諸国の文化がこれを妨げる可能性がある」とし、「技術導入とともに、組織文化の変化が絶対必要だ」と強調した。


チェ・ジウォン記者 jwchoi@donga.com