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現地の暮らしの中へ、ためらわず飛び込む――詩人イ・ビョンリュル、新刊で語る原点

現地の暮らしの中へ、ためらわず飛び込む――詩人イ・ビョンリュル、新刊で語る原点

Posted November. 17, 2025 08:53,   

Updated November. 17, 2025 08:53


「私はなぜか、自分の家で食事しなさいと誘ってくる人が多いんですよ」

詩人のイ・ビョンリュルさん(58・写真)の旅のスタイルは、EBSの旅番組「世界テーマ紀行」に近い。現地に深く入り込み、その生活にまみれるように旅をする点が似ている。2012年にベトナム・ホーチミンを訪れた際も、市場で偶然出会った住民から招待を受けた。水辺に建つ小さな掘っ建て小屋で、竿を垂らせば魚が釣れるという場所だった。イさんは「とにかく蚊が多い家だった。あまりに刺されるので、たくさん飲むしかなかったですね」と笑った。

こうした旅の経験をもとに、随筆集「好きだからそうしてる」(タル)を出したイさんを13日、ソウル鍾路(チョンノ)区にあるカフェでインタビューした。イさんは、これまでも「惹かれ」「風が吹く あなたが好きだ」「隣にいる人」など数多くの旅エッセイを出版してきた「旅の愛好家」だ。だが、見知らぬ人についていくのは危険ではないのか。

「危ないですよね。でも行くんです。行けば面白いことが起きる。人類が私に開いて見せる『温もり』なのかもしれないから、その中へ思い切って飛び込んでみるんです」

1995年、全国紙の新春文芸でデビューする前、イさんはフランス・パリで2年間過ごした。その後、詩集を一冊も出せず途方に暮れた時期にも、パリをたびたび訪れた。新刊には、彷徨うたびに帰って抱かれた都市――パリの風景と気配が収められている。歌手IU(アイユー)の「Bye,Summer」のアルバムカバーなどを手がけたイラストレーターのチェ・サンホ氏が挿画を担当した。詩人が描写したパリの風景と挿絵を合わせて見る楽しさがある。

パリのどんな「気」が詩を書かせたのか尋ねると、「パリは憂鬱なんです」という意外な答えが返ってきた。

「パリは冬が長いんです。冬は雨季でもあり、3月末から少し陽が差し始めると、人々は『発作を起こすみたい』に喜ぶ。創造的なものは、悲しみや深い傷がある時に爆発的に生まれる傾向がある。そんな環境が、創作を可能にしていたのだと思います」

イさんは、「パリは恋しやすい場所でもある」と話した。ある時、パリのサン・マルタン運河に腰掛けてメモをしていると、老夫婦が近づいてきた。家で使っていた皿とフォークを盆に載せ、ピクニックに来ていたという。「何を書いているのか」と聞かれ、「詩を書いています」と答えると、「家に空き部屋があるから、そこで書きなさい」と言って連れて行かれた。

「最初に行った時は1週間ほどいて、その後も2回ほど訪ねました。本当に一緒に食べて、寝て、過ごしました。愛情深い人たちなんですよ」

今回の新刊は、出版社「タル」の代表でもあるイさんが「旅の絵本」シリーズの幕を開ける一冊でもある。羅泰柱(ナ・テジュ)、チョン・ソンラン、チョン・セラン、コ・ソンギョンらの作家が次の筆者として予告されている。羅泰柱さん(80)は、長年救護団体を通じて支援してきたタンザニアの16歳の少女に会うため、昨年8月に現地を訪れた。その旅路を詩にし、自ら絵まで描いたという。


キム・ソミン記者 somin@donga.com