
トランプ米大統領は「北朝鮮は核実験を続けている。ロシアと中国も公にしていないだけで(核実験を)行っている」と述べ、米国も33年間停止してきた核実験を再開すると明らかにした。トランプ氏は2日(先月31日事前収録)に公開された米CBS「60ミニッツ」のインタビューで、「核兵器を造っておきながら実験しないなんて話になるか。我々はそれがどう作動するのかを実験しなければならない」と強調した。トランプ氏は先月30日、釜山(プサン)で行われた中国の習近平国家主席との米中首脳会談の1時間前に、核実験再開を電撃的に宣言した。
トランプ氏が相次いで核実験について発言するのは、中国・ロシアの核脅威が高まる中、米国の圧倒的な核戦力を誇示する必要があると判断したためとみられる。ただし、米国が核実験再開に踏み切れば、主要国間の核軍拡競争が引き起こされる恐れもある。先月30日のトランプ氏の発言直後、ロシアは「誰かが(核実験)モラトリアムを破れば、ロシアはそれに応じて対応する」と述べ、核競争から退かない姿勢を示した。
●「中ロは深い地下で核実験を行っている」
「我々は地球を150回吹き飛ばせるほど十分な核兵器を保有している」
トランプ氏はCBSインタビューで米国の核戦力についてこう語った。続けて「私が『実験』という言葉を使ったのは、ロシアが核実験を実施すると発表したからだ」とし、「ロシアは核実験を行っており、中国もそうだ。ただ彼らはそれを公表していないだけだ」と主張した。また「彼ら(ロシア、中国)は深い地下で実験しており、外部からは何が起こっているのか正確には分からない」とも述べた。米国が核実験を再開しようとするのは、中ロの核戦力強化の動きに対抗するためということだ。
これに先立ち、ロシアは先月26日に新型原子力巡航ミサイル「ブレヴェスニク」の発射成功を発表し、3日後には核弾頭搭載可能な水中無人機(ドローン)「ポセイドン」の実験成功を公表した。トランプ氏がロシアは単なる核搭載・核動力兵器の試験を超え、秘密核実験まで行っていると主張したことで、波紋が予想される。ロシアは公式には核実験を認めていない。
特にトランプ氏の核実験メッセージは、近年急速に核戦力を強化している中国を牽制する狙いとの分析もある。トランプ氏は最近、中国について「4~5年以内に(核が)非常に多くなる」と警戒感を示した。米シンクタンク戦略国際問題研究所(CSIS)によると、中国の核兵器保有量は2020年の300基から25年には約600基に増え、30年には1千基に達する見込みだ。これにより、トランプ政権が将来的に核軍縮を対中圧力カードとして活用する可能性も指摘されている。
●「実際の爆発を伴わない」核実験となる見通し
米国が核実験を再開する場合、実際の爆発を伴わない方式が採られる見込みだ。米エネルギー省のクリス・ライト長官は同日、FOXニュースのインタビューで「我々が言及している実験はシステムテストであり、『非臨界爆発』と呼ばれるものだ」と述べた。核爆発は核分裂過程で放出された中性子がさらに核分裂を引き起こす連鎖反応の結果だが、この連鎖反応が起こらないよう核物質の量などを調整するという。これにより、核爆発を伴わずに核兵器の性能などを測定できる。
米国が核実験を再開すれば、他の核保有国に対し核実験の口実を与える恐れがあるとの懸念も出ている。CSISは「米国が核実験に復帰すれば他国も追随し、中国の核能力拡大をさらに後押しすることになるだろう」と分析した。
一方、トランプ氏は、習氏が台湾に軍事行動を取った場合、台湾防衛に乗り出すかとの質問に「その時になれば分かるだろう」と即答を避けた。さらに「習主席と側近たちは『トランプが大統領の間は我々は絶対に行動しない』と述べてきた。なぜなら、その結果がどうなるかを知っているからだ」とも付け加えた。
申晋宇 niceshin@donga.com






