李尙暻(イ・サンギョン)国土交通部第1次官は23日、「自分の家を持つ夢を抱く国民の立場を十分にくみ取れなかった」と謝罪した。背景には、賃貸保証金を利用して住宅を購入する「ギャップ投資」を難しくした「10・15不動産対策」を主導しながら、「お金がたまれば、その時に家を買えばよい」と発言した一方で、自身はギャップ投資で数億ウォンの利益を得ていたことへの批判が高まっていることがある。
李氏の配偶者は昨年7月、京畿道城南市盆唐区柏峴洞(キョンギド・ソンナムシ・プンダング・ペクヒョンドン)の40坪規模のマンションを33億5000万ウォンで購入し、3カ月後に保証金14億8000万ウォンで賃貸契約を結んだ。現在の時価は約40億ウォンで、結果的に賃貸保証金を活用した投資で6億ウォン以上の利益を得たことになる。李氏は「居住用として購入したが、旧宅が売れなかったため賃貸に出した」と説明しているが、実質的な違いはない。
李氏は19日、ユーチューブのチャンネルに出演し、「今買おうとするとストレスを受ける。市場が安定し、所得がたまれば(購入の)機会は戻ってくる」と発言した。この発言が火種となった。自身は賃貸保証金を使ってマンションを購入しておきながら、ギャップ投資を抑制する政策を打ち出したことは「身勝手ではないか」との指摘がある。入居者の保証金を活用して住宅を購入し、資金が増えたらローンを組む一般的な住宅取得ルートを否定する政策を推進しながら、自身は同じ手法で利益を得ていたというわけだ。
李氏の発言や釈明については、与党「共に民主党」内でも適切ではないとの反応が出ている。韓俊鎬(ハン・ジュンホ)民主党最高委員は22日、「李氏の不適切な発言でご心配をおかけし、心からおわびする」として、次官に代わり謝罪した。同党の朴智元(パク・ジウォン)議員は23日、「国民にきちんと説明すべき不動産責任者である国土省次官が、自身は(マンションを)所有しながら国民をいらだたせる発言をしてよいのか」と指摘し、辞任を求めた。
李氏は、ソウル全域と京畿道12地域を「三重規制」でまとめた政策の担当次官だ。今後の不動産対策も引き続き主導すべき立場だ。土地不足や過剰流動性などで政策手段が限られる状況では、主要当局者の信頼性や道徳性が政策の成否に決定的な影響を及ぼす。李氏が軽率な発言と身勝手な釈明で、与党内でさえ信頼を失った以上、不動産政策の成功のためにも、自ら身を引くことが最善の選択である。
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