
ソウルで進められている住宅の再開発・再建築のうち、約15万3000戸が複数の規制が重なる「複合規制」により事業が進まない状況にあることが分かった。ソウルにおける実質的に唯一の住宅供給手段である再開発・再建築が思うように進んでいない。ソウルや京畿道(キョンギド)の12地域を土地取引許可区域に指定した「10・15不動産対策」で住宅価格の安定効果を得るには、規制の点検が必要だとの指摘が出ている。さらに、より大胆に用地を確保して都心供給を増やすべきだという助言もある。
20日、住宅産業研究院によると、ソウルでは676カ所の整備事業(再開発・再建築)区域が指定されており、総住宅数は36万7082戸に達する。このうち半数近い385カ所、15万3641戸(41・9%)は区域指定だけで、事業初期段階である事業施行認可すら得られていない。
同研究院によれば、ソウルの再開発・再建築で進行の遅い下位25%の区域は、事業の第一歩である安全診断の完了から推進委員会の設立まで平均8年7カ月を要している。一方、進行の早い上位25%の区域は平均3カ月でこの段階を終えており、対照的だ。
専門家は、こうした遅れの背景に、工事費高騰で組合員の負担が増す中、再建築超過利益還収制など複数の規制が重なっていることがあると分析している。
韓国建設技術研究院によると、今年7月時点の建設工事費指数は131を超え、2020年(100)比で30%以上上昇した。政府は昨年、再建築超過利益還収制の廃止を発表したが、最近は施行へと方針を転じている。「10・15不動産対策」により、負担金を賄えない組合員が自宅を売って区域を離れることも難しくなっている。
政府がこれまで発表してきた都心の遊休地や新規宅地の供給策についても、実効性ある住宅供給拡大策が必要だとの指摘がある。住宅産業研究院のキム・ドクレ住宅政策研究室長は、「工事費が急上昇し、再開発・再建築の事業環境は過去と変わっている。住宅供給拡大という目的のために、再開発・再建築事業における公共寄与の在り方を再検討すべき時だ」と述べた。
供給不足との指摘が相次ぐ中、20日、与党「共に民主党」は政府の不動産対策を支援する「住宅市場安定化タスクフォース(TF)」を設置することを決めた。また、地域別・年度別の供給計画を詳細に示した首都圏の供給マップを年内に公開することを目標に掲げた。さらに、再開発・再建築の許認可手続きを段階ごとに並行して進めることができるようにし、スピードを上げるための法案を11月中に成立させる方針も明らかにした。
ユン・ミョンジン記者 イム・ユナ記者 mjlight@donga.com






