
昨年1月、韓国の人気グループBTSのメンバー、ジョングクさんの証券口座からHYBE株3万3500株が奪い取られた。誰かがジョングクさんの個人情報を利用し、当時の株価で約84億ウォン相当の株式を奪い取ったのだ。ジョングクさんは1ヵ月前に入隊し、軍服務中だった。異常な株取引と判断した所属事務所のBIGHIT MUSICが即座に口座を支払い停止し、実質的な被害には至らなかった。
このような不審な株取引は一度や二度ではなかった。2023年10月には、李東彩(イ・ドンチェ)前EcoPro会長の証券口座からも約25億ウォン相当のEcoPro株が売却された。李氏は当時、借名取引の疑いで有罪が確定し収監中だった。誰かが李氏の個人情報を利用して株を売却した後、他の口座に移そうとしたのだ。裵宰鉉(ペ・ジェヒョン)元Kakao投資総括代表も資本市場法違反の疑いで起訴され収監中だった昨年初めに個人情報をハッキングされ、数億ウォン台の資金が引き出されたという。
このように、著名芸能人や大企業会長、ベンチャー企業代表など社会的著名人の個人情報を利用して、380億ウォンを引き出した海外犯罪グループの首謀者が逮捕された。警察は調査を経て逮捕状を請求する方針だ。
●個人情報を盗んで開設した携帯電話で犯行
韓国法務部は22日、ハッキングを行った犯罪グループの中国国籍の首謀者A容疑者(34)を同日タイ・バンコクから仁川(インチョン)空港へ送還したと発表した。A容疑者は23年8月から昨年1月まで、タイなど海外でハッキング犯罪グループを組織し、通信会社のホームページなどに侵入して身分証の情報を含む個人情報を盗み出した。その後、被害者の名義で格安スマホを開通し、携帯電話に証券会社のアプリをインストールし、公認認証書をダウンロードする方式などで、被害者の金融口座や仮想資産口座から金を奪い取った。
犯罪グループは、被害者が保有する株式を担保にして融資を申請したり、他の証券会社に新たな口座を開設して株式を移すという大胆な手口も使ったという。口座一つあれば他の金融機関にある保有口座をすべて探して統合取引が可能なオープンバンキングサービスの盲点を狙ったとみられる。
法務部によると、著名芸能人や大企業会長、ベンチャー企業代表などの被害者は約20人で、被害額は約380億ウォンにのぼる。軍服務中だったジョングクさんをはじめ、収監中の被害者など、資産が引き出されたことをすぐに把握できない人を狙ったことも確認された。
●国際協力でタイから送還
法務部は、ソウル地方警察庁、インターポールと共にA容疑者の所在を追跡し、今年4月にタイに入国するという情報を入手し、タイ当局に緊急引渡拘束を請求したと発表した。緊急引渡拘束請求とは、複数の国を経由して逃亡する犯罪者を正式請求前に緊急に拘束するよう要請する制度だ。法務部はその後、東南アジア協力ネットワーク、インターポールと協力し、2週間でA容疑者の身柄を確保した。
ソウル警察庁サイバー捜査隊は22日、A容疑者に対して被疑者取り調べと押収物の分析を進めると発表した。警察関係者は「調査を進めた後、A容疑者に対して逮捕状を申請する」とし、「社会的影響が大きいため、厳正に捜査する」と述べた。法務部は「最近発足した『海外ボイスフィッシング犯罪対応タスクフォース』などを通じて、海外所在のハッキング・ボイスフィッシング・オンライン詐欺犯罪組織を最後まで追跡し厳罰に処す」と述べた。





