
韓国国内の石油化学産業は、まさに風前の灯火の状態だ。グローバル供給危機と景気低迷が重なり、業績悪化による資金不足の問題が深刻だ。一時、輸出の立役者だった産業が、わずか数年で厄介者に転落した。
石油化学産業が落ち込んだのは、最大輸出国だった中国が急激に生産量を増やし、むしろ低価格攻勢を繰り広げていることが大きい。うまくいく時に危機に備えるべきだったが、「中国の技術力が短時間で韓国を越えることができるだろうか」という自信が、災いとなった。
準備なしにやられた危機に、正確な診断と効果的な対策よりは、「お前のせいの攻防」のみ飛び交っている。26年間の同業も、あっという間に消えた。麗川(ヨチョン)NCCの資金支援問題でつかみ合ったハンファグループとDLグループの話だ。麗川NCCは、両社に対し配当だけでそれぞれ2兆ウォン以上を稼がせたが、2022年から始まった3年間の業績低迷により、敵よりもひどい戦いをしている。3000億ウォンの資金支援に関する異見を狭めることができないまま、企業トップの非公式発言を公開したり、「モラルハザード」のような経営上のタブーを掲げて互いに批判しあっている。両社の間で秘密裏に行われた納入関連契約や国税庁からの課徴金に関する詳細内容が公開され、天に向け唾を吐くような攻防を繰り広げている。
両社の対立は、今や麗川NCCの社内掲示板まで占領している。両社で任命した共同代表らが、相手に向けた指差しに近い露骨な談話と反論を出したのだ。DL側の共同代表が先にハンファに向かって、「年明けから7月まで、低い原料契約を通じて持っていった380億ウォンを返しておけ」と言い放った。これに対しハンファ側の共同代表は、「相互批判がエスカレートすれば、最悪の場合、組織が崩壊する恐れがある」と威嚇した。業績悪化でただでさえ職員が不安を感じている状況で、両社が任命した共同代表までがいがみ合い、会社の状況はさらに悪化している。
政府は対策を出す前に、警告状を発している。産業通商資源部の金正官(キム・ジョングァン)長官は14日、ハンファオーシャン巨済(コジェ)造船所を訪問した席で、石油化学産業業界が自主的な事業再編に参加しなければならないとし、「ただ乗りする企業は、省庁レベルで断固として対応する」と脅しをかけた。政界でも、麗川NCCで対決したハンファグループとDLグループの関係者を国会に呼んで、叱責する準備をしているという。問題解決のための対策を用意するより、それぞれ自分が目立つような工夫ばかりしている。
石油化学業界では、うやむやにしている間に構造調整の「ゴールデンタイム」が過ぎたと見ている。中国だけでなく中東までが、安価な原材料を前面に出して生産量を増やしている。耐えるからといって解決できる状況ではない。ボストンコンサルティンググループは、「現在の不況が続けば、3年以内に国内石油化学会社の半分が消える可能性がある」と警告した。他人のせいと内訌に明け暮れれば、国内にある石油化学団地は、韓国版ラストベルト(米国の衰退した工業地帯)に一瞬にして変わるしかない。企業と政府、政界が「ワンチーム」を構成して、一日も早く効果的な対策を用意することが生きる道だ。このままでは、「シルバータイム」、「ブロンズタイム」まで逃す恐れがある。
イ・ドンフン記者 dhlee@donga.com






