
「私たちは今、『トランプラウンド』を目撃している。新しい貿易協定は、新しいグローバル貿易秩序の幕開けだ」
米通商政策を取り仕切る米通商代表部(USTR)のジェミソン・グリア代表は7日(現地時間)、米紙ニューヨークタイムズに掲載された「我々が世界秩序を見直した理由だ」というタイトルの寄稿記事で、このように宣言した。「今や世界貿易機関(WTO)が主導する世界貿易秩序は不可能だ」とも明言。貿易交渉を意味する用語である「ラウンド」を付けて、各国に高関税を課すいわゆる「トランプラウンド」が、WTOに代弁される既存の多国間貿易体制にとって代わっていると主張したのだ。
グリア氏は特に先月27日、スコットランドのターンベリーで、トランプ米大統領と欧州連合(EU)のウルズラ・フォン・デア・ライエン執行委員長が交わした貿易合意を、「ターンベリー体制」と位置づけ、「公正でバランスの取れた、具体的な国益に合致する歴史的合意だ」と評価した。さらに、「トランプラウンドが始まってから130日も経っておらず、ターンベリー体制はまだ完成していないが、その構築は順調に進んでいる」と書いた。
グリア氏は記事で、「WTOの体制が関税保護を解除させて米国の製造基盤を崩壊させ、低い労働基準などを持っている中国などに利益をもたらした」として一つひとつ批判。ブリア氏は、「WTO中心の新自由主義貿易秩序により、米国は産業と働き口を失った」とし、「その体制の最も大きな恩恵者は中国だった」と主張した。そのうえで、解決策として高関税を通じた製造業保護を強調した。グリア氏は、「トランプ大統領は、関税と投資のための協定を並行して、新しい世界貿易秩序の足掛かりを用意した」とし、「新しい米国のアプロートの仕方は、既存の貿易官僚が好む退屈な紛争解決手続きの代わりに、合意履行を綿密にモニタリングして不履行時はさらに高い関税率を迅速に再度課すことだ」と書いた。
高関税政策が物価を押し上げて米経済に負担になるという専門家たちの予想に対しては真っ向から反論した。グリア氏は「今や関税をさらに幅広く課しているにもかかわらず、インフレは依然として抑制されている」と書いた。実際、米国の6月の消費者物価指数(CPI)は前年同期比2.7%上昇し、米連邦準備制度(Frb)の目標値である2%台を維持している。
一方、ハワード・ラトニック米商務長官は7日、トランプ大統領の在任中に米国に生産設備を建設すると約束し、これを履行する企業に限って半導体関税(100%)を免除すると、フォックスビジネスとのインタビューで明らかにした。これに伴い、米国に大規模な投資を進めている三星(サムスン)電子とSKハイニックスは、関税免除対象になるという見方が出ている。
ニューヨーク=イム・ウソン特派員 キム・ソンモ記者 imsun@donga.com






