韓国監査院が6日、公務員の政策決定に対する監査を廃止すると発表した。政権が変わるたびに前政権が推進した政策の責任を追及し、公職社会が萎縮する副作用を防ぐためだ。李在明(イ・ジェミョン)大統領が「政策監査を名目に熱心に働く公務員を苦しめ、意欲をそぐことが絶対にないようにしてほしい」と指示してから13日後のことだ。これにより2003年に導入された監査院の「政策監査」が22年で廃止されることとなった。
監査院は今後、「仕事中に生じた過ち」に対する懲戒・刑事責任の負担を軽減するとした。私益追求・特恵提供など重大な過ちがなければ、政策・事業推進の過程で生じた問題は懲戒にしないという原則をすべての監査に適用する方針だ。職務監察の除外要件も明確に規範化する。「政府の重要な政策決定および政策目的の当否」を職務監察の対象から除外した事務処理規則をさらに精密に修正する方針だ。
政策監査は盧武鉉(ノ・ムヒョン)政権時代に「政策の質を高める」という趣旨で始まったが、時間が経つにつれて前政権の過ちを暴いて攻撃する手段へと変質した。李明博(イ・ミョンバク)、朴槿恵(パク・クンへ)、文在寅(ムン・ジェイン)政権にわたって5回も監査が行われた4大河川事業も代表的な事例の一つだ。同じ事案であるにもかかわらず、監査院は政権が変わるたびにその時々の意向に合わせて異なる監査結果を出し、物議を醸した。
月城(ウォルソン)原発1号機の経済性評価操作をめぐっては、尹錫悦(ユン・ソクヨル)政権の無理な監査により担当公務員らが解任などの人事上の不利益とともに起訴までされたこともあった。彼らは約3年半にわたる訴訟の末、大法院(最高裁判所)で無罪確定の判決を受けた。公正取引委員会が企業に科した課徴金訴訟で敗訴することが多いのも、後に監査院の責任追及時に「免責」するために現場の公務員がとりあえず課徴金額を高く設定することが原因だという指摘もある。
公務員が将来受ける監査と処罰を先に考えると、政府業務は萎縮せざるを得ない。従来通りの慣行から抜け出して新たに成果を出そうという意欲を出すよりも、責任を負う事態だけは避けようとする、いわゆる「事なかれ主義」文化を生む。監査院が政策監査の中止を宣言したことを機に、こうした公職文化を変えようとする試みが増えなければならない。国民は責任を負うことを避けて器を割らなかった公務員よりも、意図せず器を割ることがあっも何か新しいことに挑戦する公務員を期待する。景気低迷、関税戦争という内外の挑戦に直面した韓国社会にとって、自分の身を顧みず、実際に成果を出す公務員がこれまで以上に必要だ。
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