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中央博物館の「ミュッズ大ヒット」、ルーツを探る日常の美感

中央博物館の「ミュッズ大ヒット」、ルーツを探る日常の美感

Posted August. 02, 2025 08:49,   

Updated August. 02, 2025 08:49


「第9次予約販売開始」。ホームショッピングや大手マートのオンラインショッピングモールかと思った。この文句は「国立博物館文化商品」オンラインショップの「カササギ虎バッジ」販売文のタイトルだ。このバッジはすでに約2万3千個売れ、今注文すると約3ヵ月の11月19日から順次受け取ることができるという。最近、米動画配信大手ネットフリックスのアニメーション映画「KPOPガールズ!デーモン・ハンターズ」が注目され、作品に登場する虎(「ダフィー」)とカササギ(「スシ」)に似たこのバッジが人気を得ている。海外からも購入の問い合わせが相次いでいるが、国内への供給も滞っている。

博物館グッズを意味する「ミュッズ(museum+goods)」の人気は「KPOPガールズ!デーモン・ハンターズ」以前からすでに爆発的だった。「半跏思惟像のミニチュア」「丹青キーボード」「瓦模様の箸置き」「月壺のドアチャイム」一時品切れ、「笠キーリング」注文殺到、〇〇日から順次発送…。供給が需要に追いつかないミュッズが次々と出ている。もしかしてソウル龍山区(ヨンサンク)の国立中央博物館に行けば買えるのではないか? ソーシャルメディアには、子どもたちが夏休み中の最近、「漢江(ハンガン)大橋から駐車場の入場待ちの列に並んで1時間かけて博物館に入り、グッズを買おうとまた文化商品店で列に並んだが、午前中にすでに売り切れていた」という体験談が少なくない。

データも同じ事実を示している。国立博物館のミュッズを開発・販売する国立博物館文化財団によると、ミュッズの売上は2022年に113億ウォンを記録し、初めて100億ウォンを超えたが、昨年は213億ウォンで2年で約2倍になった。冷たい液体を注ぐと表面に描かれた金弘道(キム・ホンド)風の文人の顔が赤く変わる「酔客儒者三人組 変色酒器セット」(一時品切れ)は、昨年約8万セットが売れた。財団のミュッズ売上は今年300億ウォンに達すると予想される。これとは別に国家遺産振興院のオンラインショッピングモールでも、日月五峰図が描かれたバッグ、財布、ハンカチ、扇子などが人気で、最近売上が急増している。

若年層を中心にミュッズは「ヒップトラディション(hip+tradition)」の代表的アイテムになった。すでに一時的な流行を過ぎ、トレンド(少数が同調し2〜3年流行)になり、メガトレンド(多数が同調し10年以上継続)になる分岐点にあると見るべきだ。Kカルチャーの台頭が伝統文化や博物館への関心を呼び起こし、伝統が再び広義のKカルチャーの栄養源になるという好循環の一断面だ。

ミュッズを見るとまず美しくて実用的で、欲しくなるように作られている。博物館文化財団のキム・ミギョン商品事業本部長は「2016年に入社した時は安価な文具類が多かったが、その後は日常で役立つ様々な商品に開発の焦点を当てる一方、若い感覚のデザインを外部公募したことが奏功したようだ」とし、「文化遺産が博物館を超えて韓国人の生活に浸透するように、企業などとの協業を拡大していきたい」と述べた。

世界に韓国の虎を印象付けたのは、1988年ソウル五輪のマスコット「ホドリ」だった。ソウル五輪開会式では民俗遊びの輪転がしが登場し、世界中の視線を集めたが、当時すでに輪転がしをして遊ぶ子どもはほとんどいなかった。今からでも伝統の「美感」が再び日常に戻ってくるのは喜ばしいことだ。価格がやや高めではあるが、無形文化財保持者など匠の伝統工芸品にも関心が移っていくといい。