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強制キスした男の舌を切断、61年ぶりに無罪求刑

強制キスした男の舌を切断、61年ぶりに無罪求刑

Posted July. 24, 2025 09:22,   

Updated July. 24, 2025 09:22


61年前に自分に性的暴行を加えようとした男の舌を噛んだ罪で有罪判決を受けたチェ・マルジャ氏(79)の再審公判で、検察が無罪を求刑した。

23日、釜山(プサン)地裁刑事5部(金炫淳部長判事)は、チェ氏に対する再審の初公判と結審公判を行った。同日、検察は、チェ氏に無罪を判決してほしいと裁判所に要請した。検察は、「本事件は、突然加えられた性暴行に対する被害者の正当な行為であり、過度だとは言えず違法でもない」とし、「被告人に対して正当防衛を認め、無罪を言い渡してほしい」と明らかにした。さらに、「性暴行の被害者として、当然保護されなければならなかったチェ・マルジャ氏に対し、計り知れない苦痛と痛みを与えた」とし、チェ氏に謝罪した。チェ氏側の弁護人は、「司法府のために加害者と被害者が入れ替わったこの事件を、遅ればせながら、正すことができるようになった。検察に続き、裁判所が回答する時だ」と述べた。

白い上着を着て被告人席に静かに座っていたチェ氏は、裁判所から最後の陳述を求められると、予め準備していた一枚の自筆文書を読み上げた。チェさんは、「1964年のあの日の悪夢が、今も鮮明だ。国が私を罪人と規定し、61年間苦痛の中で生きることになった」とし、「子孫が性的暴力のない世の中で幸せに暮らせるように、関連法が作られてほしい」と話した。判決の言い渡しは、9月10日午後2時に行われる。

チェ氏は法廷を出てから明るい表情で、「私が勝ちました」と叫んだ。裁判所の外で記者たちと会った席で、チェ氏は、「最後まで私を守ってくれた市民団体や弁護士、国民のおかげでここまで来ることができた」と感想を明らかにした。さらに、検察が無罪を求刑し、謝罪したことについては、「誤りを認めて謝罪することを私の耳で聞けただけに、大韓民国に正義が生きていると思う」と話した。チェ氏は、両手を頭の方に乗せてハートを作りながら、応援してくれた人たちに感謝の意を表した。

1964年、18歳だったチェ氏は、自分に性的暴行を加えようとした男の舌を噛んで、1.5センチを切断した罪で拘束起訴された。当時、裁判所は、チェ氏に対し懲役10ヶ月執行猶予2年を下した。「性的暴行の防御のための正当防衛」というチェ氏の主張は受け入れられなかった。チェ氏は、事件発生から56年ぶりの2020年5月に再審を請求したが、1審と2審の裁判所は、「かつて、捜査中に検事が違法に拘禁し、自白を強要した」というチェ氏の主張に対する証拠がないとし、請求を棄却した。最高裁は3年以上審理した末、「チェ氏の主張が正しいと見る情況は十分だ」として、事件を破棄差し戻し、釜山高裁は今年2月、チェ氏の重傷害事件再審棄却決定に対する抗告を認容した。


釜山=キム・ファヨン記者 run@donga.com