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北京に負けている[「臨床試験」医政対立で止まった医学研究

北京に負けている[「臨床試験」医政対立で止まった医学研究

Posted June. 17, 2025 09:15,   

Updated June. 17, 2025 09:15


「診療と手術、当直勤務にすべての時間を割くのに、研究する暇などどこにありますか」

昨年2月に始まった医政対立は、医学研究にも悪影響を及ぼしている。医学部教授の研究を補助する専攻医と医学部生が病院と学校から離れ、医学部教授と専任医(フェロー)は、専攻の空白を埋めるために忙しいからだ。

大韓医学会誌(JKMS)の関係者は、「2023年には論文1220件が投稿されたが、昨年は投稿論文が900件にとどまり25%ほど減った」と明らかにした。米国立保健院サイト「パブメド(PubMed)」に掲載された韓国機関所属の研究者(いずれも韓国人)の論文も、減少傾向にある。2022年は3万1873件に達していた論文が、2023年は3万642件、2024年は3万473件に減っている。医学論文を一つ書くには1年から1年半ほどがかかるため、減少の影響は今年下半期に本格的に現れるだろうという見方もある。

昨年、グローバル製薬会社の主導で推進した医薬品の臨床試験で、ソウル所在の医療機関のシェアは1.32%で、中国北京(1.4%)に次いで2位だった。ソウルは、2017~2023年の7年間、トップの座を固守した。しかし、医政対立の影響で韓国国内での臨床研究が減り、新薬開発や研究にも困難を経験している。臨床試験には少なくとも医師が1人以上含まれなければならないが、医師が参加できずプロジェクト自体が中断された事例も出ている。

韓国国内の医療チームが、海外共同研究に適切に参加できなかったり、臨床試験の患者を募集するのが難しく、一部薬物の臨床再評価の期限を延長しなければならなかったりする状況も起きている。業界では、グローバル製薬会社が、韓国を「不確実性が大きい国」と判断すれば、後続臨床試験の誘致などが難しくなりかねないと懸念している。

中国は正反対だ。中国は最近、米国を抜いて臨床試験の規模で1位になった。中国は2017年、国際医薬品基準を作る機構である国際医薬品規制調和委員会(ICH)に加入後、医薬品の臨床開発規制を先進国の基準に合わせようと努力してきた。中国内で行われる臨床試験は費用も安い方であり、新薬開発にもシナジー効果を出している。昨年基準で、グローバル製薬会社のパイプライン(新薬開発)上位25位内に江蘇恒瑞、シノバイオファーム、シャンハイ・フォサン、CSPCの4社の中国大手製薬会社が含まれている。国内製薬会社は1社も入っていない。昨年、中国製薬市場は前年比7.2%成長し、3000億ドル(約410兆ウォン)規模に達するものと試算された。

政府は2023年8月、理工系研究開発(R&D)の関連予算案を5兆2000億ウォン(16.6%)削減して編成した。国会で12月に6000億ウォンが増額されて可決しされたが、減額の影響は翌年すぐに明らかになった。予算が減った研究室は、研究と実験を完全に進めることが難しくなり、論文の出庫も減った。研究を支援していた理工系の生態系企業も、経営難に苦しんだ。現在、大学病院は理工系研究室と同様の状況だ。

臨床試験と医学研究、新薬開発は、相互につながっている。幸いなことに、医療界の内部でも対話の声は出ている。政府と医療界が早く医政対立を解決し、医療正常化だけでなく未来の成長エンジンである新薬などのバイオ産業に邁進しなければならない時だ。中国の「バイオ崛起」は、すでに脅威的だ。