
「国境を開き、壁を取り払い、憎しみを追い払ってほしい」
史上初の米国出身であるローマ教皇レオ14世が8日(現地時間)、即位1ヵ月を迎えた。教皇は同日、バチカンのサンピエトロ広場で行われた聖霊降臨祭のミサで、「愛があるところには、偏見の入り込む余地はなく、隣人と私たちを隔てる安全地帯も存在しない。排他的な思考様式も存在しない」と強調し、最近の「政治的ナショナリズム」によってこうした排他的な思考様式が現れていることを嘆いた。
教皇は、特定の国家や特定の政治家の名前を挙げることはなかった。しかし、ロイター通信は、教皇が以前からトランプ米大統領を批判することをためらわなかった点に注目した。そして、強硬な反移民政策を維持するトランプ氏を遠回しに批判するために政治的ナショナリズムと排他主義を取り上げた可能性があると指摘した。
移民に対する包容を訴える教皇は、前任のフランシスコ教皇と同様、強硬な反移民政策を推進するトランプ氏に批判的な立場であるとされている。枢機卿時代、第1次トランプ政権が実施した不法移民の親子分離措置を批判する文章を共有したこともある。
教皇は、フランシスコ教皇の2023年5月の発言も振り返った。当時、フランシスコ教皇は、「私たちは互いに引き離され、無関心によって麻痺し、孤独に押しつぶされている」と述べ、「連帯」を強調した。教皇は「今日、世界各地の戦争は(断絶、無関心、孤独の)悲劇的な兆候だ」とし、「戦争があるすべての場所に『和解』と『対話』があることを願う」と述べた。
教皇は選出後、ウクライナ戦争やイスラエルとパレスチナ武装組織ハマスの戦争の終結を呼びかけてきた。ウクライナのゼレンスキー大統領は教皇の即位式に出席し、ロシアのプーチン大統領も4日に教皇と電話会談を行った。
また、ソーシャルメディアが人間の確証バイアスを強化することにも懸念を示した。教皇はソーシャルメディアによって「常につながっていながらも真の『つながり』ができず、常に群衆の中にいながら混乱し孤独な旅人になっていく」と指摘した。
イ・ジユン記者 asap@donga.com