与党「国民の力」の大統領候補である金文洙(キム・ムンス)前雇用労働部長官と韓悳洙(ハン・ドクス)前首相が8日、2回目の会談を行ったが、今回も一本化の時期と方式で全く接点を見出せなかった。金氏は、11日に一本化を終えるという党執行部に対して「国民詐欺劇だ」とし、第三者に党候補の地位を与えてはならないという仮処分訴訟を提起した。そして、14日に討論、15~16日の世論調査で一本化することを提案した。しかし、党執行部は、「金氏が取るに足らない候補の地位を守ろうとしている」とし、同日から2日間、一本化選好度世論調査を行った。党候補の意思とは無関係の一本化手続きの強行も、これに対抗する法的紛争も前例のないことだ。
金氏と党執行部、韓氏の間で交わされた言葉の爆弾は自傷行為のレベルだった。金氏と韓氏は会談で互いに「候補の地位を明け渡せということ」「1週間後の一本化は、するなということ」と対立した。先に金氏が「幽霊と幻影を見て一本化しろというのは話にならない」と言うと、執行部と韓氏はそれぞれ「本当に情けなく卑劣な行為」「基本的な礼儀もない」と反論した。
一本化の内戦は、ますます破局に向かう様相だ。金氏は大統領候補の党務優先権を発動し、一本化の時期を先延ばしにするという立場だが、党執行部は新しい大統領候補指名手続きを踏むことができる全国委員会と全党大会を招集した。世論調査で韓氏が優勢な場合、これを根拠に党執行部が候補交代を試みれば、仮処分訴訟などの法的紛争につながることは避けられず、残り3日の候補登録締め切り日までに候補を確定できない最悪の事態が発生する可能性もある。
前例を見ないこのような光景は、党執行部と金氏、韓氏の合作と言っても過言ではない。党執行部は、過去の親尹錫悦(ユン・ソクヨル)派による党代表排除を想起させる方法で金氏を追い詰めており、金氏は即時一本化の約束で票を得ておきながら、時間を引き延ばしている。韓氏は、党員でもないのに党に一本化方式を一任するという理解しがたい態度で混乱を拡大させている。
金氏も、韓氏も、党執行部も、それぞれ政治的な損得勘定に没頭し、大統領選は眼中にないかのようだ。党の主導権であれ公認権であれ、手に入れられるものから確保しようという考えでなければ、「2位のための一本化」なのか「党候補の排除」なのかわからない、このような情けない泥沼劇は起こらないだろう。大統領選は、たとえ負けるとしてもどのように負けるかが重要だ。一本化できるかどうかよりも誰が最終候補になるかよりも重要なことは、保守の代表政党としての「国民の力」をどのように立て直すかということだ。今の「国民の力」は、明らかに自滅の道だと知りながら崖へと突き進む夢遊病患者のようだ。
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