工事費高騰がもたらした「再建築ロト」時代の終末
Posted February. 17, 2025 08:35,
Updated February. 17, 2025 08:35
工事費高騰がもたらした「再建築ロト」時代の終末.
February. 17, 2025 08:35.
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もう20年前の話だ。大学生時代、ソウル郊外の5階建てのマンションで2年間一人暮らしをした。1980年代に建てられた中古マンションなので、大学周辺のワンルームより税負担が少なかった。そのころから、再建築は遠くないという話が出回った。数年後、新居を探すために再び訪れた町では、再建築のニュースがかなり具体化されていた。容積率の低い駅周辺の団地であり、住宅価格が2億ウォン台で初期投資費が少ないという長所が投資家を集めた。安全診断や組合設立は、一気に進められた。みんな数年後には立派な新築になる、という確信に満ちていた。住宅価格は天井知らずに上がり、2021年夏に8億ウォンを記録した。先日接したニュースは、バラ色の未来とはまったく違っていた。まだ鍬入れもしていない。組合は2年前に施工会社を選んだが、工事費などを巡る立場の違いを狭めることができず契約を解約し、このために訴訟にまきこまれていた。住宅価格は4億ウォン台後半に下がったが、予想分担金は5億ウォンに達するという。ソウル市が迅速な事業推進を約束した「ソウル型再建築1号」の団地が、分担金爆弾に足を引っ張られた代表事例の一つに挙げられている。最近、再建築現場では、工事費と分担金を巡る対立が日常になっている。組合は予想より多くの分担金のために、事業計画を組み直したり工事費引き上げを要求した建設会社と訴訟を行っている。かつて事業性が良い団地では、分担金のない「無料再建築」も可能だった。分譲収益が全体事業費より多く、払い戻しを受ける事例もあった。分担金が出ても、実際の負担は大きくなかった。契約金だけ払って、中途金は融資に頼れば済むことだった。入居時に一度に払う利息は、住宅ローンや借家人の賃貸保証金で充当した。再建築への投資が「ロト」のように思われた理由だ。ところが、このような成功の公式が揺れている。工事費が上がった分、分担金が増えたためだ。利息負担が増えただけでなく、分担金が融資可能額を上回り、現金負担が大きくなったのだ。それに伴って分譲価格も上昇した。ところが分譲景気が未曾有と言われるほど低迷している。全国の売れ残りマンションは7万173戸で、2012年以来最大となっている。組合員たちは、ややもすると売れ残りによる損失まで抱え込まなければならないという意味だ。2020年以降、今まで工事費は30%以上上がった。不動産業界では、米国の関税政策と為替相場の変数で、工事費は今後さらに上がるだろうという観測が多い。再建築現場をよく知っている弁護士取材員は、「今後、再建築着工後の物価上昇に合わせて、工事費を上げるのが当然視されるだろう」と予測した。完成後に確定される分担金は、着工時の予想より増える可能性が高いという意味だ。政府と地方自治体も、事業環境の変化に合わせて事業性を高める政策を一つ二つ打ち出している。国民も変わった現実を直視しなければならない。近隣団地を圧倒する「代表株」になるための差別化設計が利益なのか、冷静に確かめなければならない。主要立地のごくわずかなの団地を除けば、代表株のプレミアムによる住宅価格の上昇分より、高級化による工事費負担のほうがさらに大きい可能性がある。過去の成功公式にとらわれ、ロトのように再建築に接するのは止めなければならない。これ以上無料はない。「モムテク」(古い家に住んで再建築する時まで持ちこたえること)をするにせよ、入居権を買うにせよ、それ相応の値段で買わなければならない時代だ。
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もう20年前の話だ。大学生時代、ソウル郊外の5階建てのマンションで2年間一人暮らしをした。1980年代に建てられた中古マンションなので、大学周辺のワンルームより税負担が少なかった。そのころから、再建築は遠くないという話が出回った。
数年後、新居を探すために再び訪れた町では、再建築のニュースがかなり具体化されていた。容積率の低い駅周辺の団地であり、住宅価格が2億ウォン台で初期投資費が少ないという長所が投資家を集めた。安全診断や組合設立は、一気に進められた。みんな数年後には立派な新築になる、という確信に満ちていた。住宅価格は天井知らずに上がり、2021年夏に8億ウォンを記録した。
先日接したニュースは、バラ色の未来とはまったく違っていた。まだ鍬入れもしていない。組合は2年前に施工会社を選んだが、工事費などを巡る立場の違いを狭めることができず契約を解約し、このために訴訟にまきこまれていた。住宅価格は4億ウォン台後半に下がったが、予想分担金は5億ウォンに達するという。ソウル市が迅速な事業推進を約束した「ソウル型再建築1号」の団地が、分担金爆弾に足を引っ張られた代表事例の一つに挙げられている。
最近、再建築現場では、工事費と分担金を巡る対立が日常になっている。組合は予想より多くの分担金のために、事業計画を組み直したり工事費引き上げを要求した建設会社と訴訟を行っている。
かつて事業性が良い団地では、分担金のない「無料再建築」も可能だった。分譲収益が全体事業費より多く、払い戻しを受ける事例もあった。分担金が出ても、実際の負担は大きくなかった。契約金だけ払って、中途金は融資に頼れば済むことだった。入居時に一度に払う利息は、住宅ローンや借家人の賃貸保証金で充当した。再建築への投資が「ロト」のように思われた理由だ。
ところが、このような成功の公式が揺れている。工事費が上がった分、分担金が増えたためだ。利息負担が増えただけでなく、分担金が融資可能額を上回り、現金負担が大きくなったのだ。それに伴って分譲価格も上昇した。ところが分譲景気が未曾有と言われるほど低迷している。全国の売れ残りマンションは7万173戸で、2012年以来最大となっている。組合員たちは、ややもすると売れ残りによる損失まで抱え込まなければならないという意味だ。
2020年以降、今まで工事費は30%以上上がった。不動産業界では、米国の関税政策と為替相場の変数で、工事費は今後さらに上がるだろうという観測が多い。再建築現場をよく知っている弁護士取材員は、「今後、再建築着工後の物価上昇に合わせて、工事費を上げるのが当然視されるだろう」と予測した。完成後に確定される分担金は、着工時の予想より増える可能性が高いという意味だ。
政府と地方自治体も、事業環境の変化に合わせて事業性を高める政策を一つ二つ打ち出している。国民も変わった現実を直視しなければならない。近隣団地を圧倒する「代表株」になるための差別化設計が利益なのか、冷静に確かめなければならない。主要立地のごくわずかなの団地を除けば、代表株のプレミアムによる住宅価格の上昇分より、高級化による工事費負担のほうがさらに大きい可能性がある。過去の成功公式にとらわれ、ロトのように再建築に接するのは止めなければならない。これ以上無料はない。「モムテク」(古い家に住んで再建築する時まで持ちこたえること)をするにせよ、入居権を買うにせよ、それ相応の値段で買わなければならない時代だ。
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